まず準決勝1試合目に日本が誇る“レジェンド”としてWWEでも一目置かれる存在となっている里村が、前ワールド・オブ・スターダム王者のトニー・ストームと対戦。日本では一度対戦しドローに終わっている。里村は「絶対に勝ちたいです。決勝に出ることしか考えていない」とコメントすると、ジャパニーズスタイルを熟知しているトニーは「世界でベストな選手の1人だ。簡単ではない」と里村への警戒心を口にした。
試合は完全なるジャパニーズスタイル。いわゆる大味な展開にはならず、場内は2人の攻防に釘付けになっていた。打撃で押す里村に対して、関節技や空中殺法で対抗するトニー。日本の試合をアメリカに直輸入する形となり、WWEユニバース(ファン)の心をつかんだ。「世界に日本のプロレスを伝えたいし広めたい」と出場決定時に話していた里村にとっては狙い通りの展開だった。
しかし、最後は里村のスコーピオライジングをしのいだトニーがストロングゼロを決めてカウント3。里村は準決勝で姿を消すこととなった。試合後、達成感からか涙を流しながらトニーと抱き合う里村に対してユニバースから「サンキューメイコー」コールが発生。ステージ上ではWWEの現場監督・トリプルHが里村の腕を上げて健闘を称えた。トリプルHに認められたことで、里村がまたWWEマットにゲスト参戦する可能性は出てきたとみていいだろう。
準決勝2試合目には、“天空の逸女”紫雷イオが登場、同じNXTに所属しているリア・リプリーと対戦した。イオは「どれだけ私がすごいか世界に知らしめます。絶対に優勝決定戦に残りたいし、優勝したい」と試合前にコメントしていたが、試合はオーストラリア出身のリアが繰り出すパワーファイトにイオは防戦一方。しかし、イオはスターダムのエースとしてパワーファイターを相手にし、王座を防衛し続けてきた実績と経験がある。怒涛のエルボー17連発からトペ・スイシーダでペースを握り返すと、リアの反撃を受け流し、最後はランニングダブルニーからのムーンサルトでカウント3を奪取。決勝に駒を進めた。
試合後、イオは「おっしゃ!私が絶対世界一になる」と宣言。前年の同大会で優勝したスターダム時代からの盟友カイリ・セインから花束を贈呈され、ステージ上ではトリプルH、決勝の相手であるトニー・ストームとともに写真撮影した。決勝は元スターダム対決となった。
2年連続で日本人選手の優勝となるか?決勝はWWE初となる女子だけのPPV『エボリューション』として、日本時間の29日に開催される。
文 / どら増田
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