ひとりの教師による立てこもり事件を描いた本作。回を重ねるにつれ、そのクラスで起きた学園のスター生徒・澪奈(上白石萌歌)の自殺の真相が少しずつ明らかになっていき、澪奈を自殺に追い込んだ犯人や、事件を起こした一颯(菅田将暉)の真意が明らかになっていくというストーリーになっていた。
「視聴率15%超えに加え、生徒のその後と卒業式を追ったスピンオフドラマが配信されたHuluがサーバーダウンするなど、今クール1の話題作となった本作。ミステリードラマでしたが、最終回で明らかになった澪奈を自殺に追い込んだ真犯人というのは、実は無責任に情報を拡散し、誹謗中傷を書き込むSNSユーザー。SNS、ひいてはネットの使い方に警鐘を鳴らすドラマとなっていました」(ドラマライター)
最終回では、一颯がSNSユーザーに向けて生配信を行い、匿名の言葉の身勝手さを訴えかけるシーンもあり、ネットからは「今の世の中に本当に必要なドラマだったと思う!」「現代社会の問題を取り上げたとても良いドラマだった」「炎上に便乗して叩いてる人にこそ見てほしい」といった絶賛の声が聞かれたが、一方では「そもそもの原因無視して、真犯人はSNSって無理がある」「実際にいじめに加担するよりも匿名のSNSのほうが罪が重いのか?」「原因を作った人たちよりも二次被害をもたらしたネットのせいにするのは責任転嫁過ぎる」という否定的な声も聴かれた。
「本作では、正義感を振りかざし、真偽不明のまま匿名で他人を傷つけ続けるネットユーザーに対し、警鐘を鳴らしていました。しかし、実際本作に肯定的な声を取り上げてみても、『中高生にこそ観てほしい』『みんながこのドラマを観てネットの言葉が少しでも改善されればいい』といった声が多数。本編では、一颯の説教に対し、ネットから反発の声が上がるという一幕がありましたが、現実では逆に“自分に対し言われている”と自覚しているネットユーザーはあまり多くなく、当事者が不在になってしまったかのような現象が起きています。本編のラストでは、さくら(永野芽郁)が一颯の遺影に向かって、『あの事件で世の中が大きく変わったなんて全然なくて……』と話しかけるシーンもありましたが、今のところ、そこだけは現実とリンクするという皮肉な状態になっています」(同)
果たして、『3年A組』は本当の意味で、ネットの使い方に対し警鐘を鳴らすドラマになり得たのだろうか。視聴者のネットへの自覚が試されるドラマとなっていたのかもしれない。