NHKの連続ドラマ小説『凛々と』で史上2人目(当時)の男性主人公を演じ、その高い演技力を買われCMや2時間ドラマでは常に売れっ子のひとりであった。
また田中さんは、2006年に放送されたウルトラマンシリーズ『ウルトラマンメビウス』で主人公の属する防衛隊の隊長役を演じ、子どもたちにも人気が高かった。
田中さんが『ウルトラマンメビウス』で演じたのは、ミステリアスな隊長、サコミズ・シンゴ。サコミズは1940年代の生まれであるが、宇宙勤務の「ウラシマ効果」によって年齢が止まってしまい、若い姿のまま2000年代に帰ってきた男だ。
なお、サコミズは『ウルトラマンメビウス』の最終回で、ウルトラ兄弟の長兄であるゾフィーと一体化しメビウスと共に戦った「ウルトラマンの人間体」でもあった。
そう、田中さんはウルトラマンの人間体を演じた俳優だったのだ。
ウルトラマンの人間体を演じた俳優といえば、かつては黒部進や篠田三郎、最近ではつるの剛士、杉浦太陽が有名であり、物故者はまだいないように思われている。
しかし、実は田中さんの前にも亡くなったウルトラマン役者はいるのだ。それは奇しくも田中さんと同じゾフィー役を演じていた往年の名優、竜崎勝である。
竜崎勝はフリーアナの高島彩の父親としても有名であるが、知的な風貌と美声で大人気の二枚目俳優だった。彼は「ウルトラマンタロウ」でゾフィーと一体化する博士という役柄で出演し、たった2回の出演ではあるが圧倒的な存在感を見せていた。
ちなみに竜崎勝は、田中さんと同じ年齢の44才で、肝硬変のためこの世を去っている。