「オーナーのたちの間には、最善を尽くすべきだとの心情もあるようだ」
米大リーグ機構によるオーナー会議か開催された(11月21日/現地時間)。会議場から出てきたコミッショナーのロブ・マンフレッド氏は会見に応じ、来年夏の東京五輪について語り、メジャーリーグとして、その出場権獲得のために“努力する”と伝えた。
“ビミョ〜なコメント”である。アメリカ代表チームを東京五輪に送り出したい、その点では30球団のオーナーは意見が一致しているようだが、「メジャーリーガーによる選抜チーム」の結成は明言していない。
「先のプレミア12大会では、東京五輪出場権が掛かっていました。アメリカは(各チームの)40人枠に入っていない選手やマイナー選手でチームを編成し、3位決定戦で敗れてしまいました。五輪出場を果たすには、来年3月の米大陸予選に出て、勝ち上がらなければなりません」(特派記者)
五輪出場を果たせなかったとなれば、野球大国のメンツが立たないというわけだ。アメリカが五輪に非協力的な理由は、選手の肖像権の問題があるからだ。米国の五輪中継は民放テレビ局1社が高額な長期契約を交わしている。それに対し、メジャーリーグ各球団は地元のローカルテレビ局(ケーブル局も含む)と契約し、その放映料金が球団の収入源となっている。五輪のいかなる競技も独占契約を交わした民放局に放映権があるので、各球団は地元ローカル局と交わした契約に抵触してしまう。この現実的な問題に、プレミア12大会での敗退による“五輪不出場”というメンツの問題が重なったのだ。
「オーナー会議後の米コミッショナーの発言を受け、『説得』『交渉の余地アリ』と見た日本の関係者もいました」(ベテラン記者)
侍ジャパンの稲葉篤紀監督はプレミア12大会よりも、“戦力ダウン”したチームで五輪本番を戦わなければならない。プレミア12大会は優勝できたが、守備の要である菊池涼介もメジャーリーグ挑戦でいなくなってしまうからだ。
「アメリカが東京五輪に出る」と決まれば菊池は召集できるが、メジャーリーガーを集めたアメリカ代表と戦うことになる。こっちのほうが脅威だ。
こんな情報も聞かれた。オーナー会議では「ルール変更」に関する意見も出たそうだ。
「ワンポイント・リリーフを止めにしよう、と。リリーフ投手が打者一人で交代する継投策も定着していますが、『リリーバーは最低3人に対し投げる』とペナントレースのルールを変更することで合意しました。『メジャーでルール変更されたことは、いずれ日本にも』という過去の経緯からして、日本のペナントレースもワンポイント・リリーフが禁止」になるでしょう」(前出・特派記者)
侍ジャパンは例年、3月に国際試合を行う。試験的に「ワンポイント・リリーフNG」となるかもしれない。アメリカの五輪に対する考え方の変更もそうだが、稲葉監督は“米オーナーのご都合”に振り回されそうだ。
(スポーツライター・飯山満)