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『江〜姫たちの戦国〜』第16回、のだめを脱皮した上野樹里の江

 NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』の第16回「関白秀吉」が、5月1日に放送された。今回は羽柴秀吉(岸谷五朗)の関白就任を描く。

 当初、秀吉は武家の棟梁である征夷大将軍を目指していた。このこと自体は多くの作品に描かれているが、『江』で特徴的に描かれるのは秀吉の動機である。将軍就任の目的は茶々(宮沢りえ)を惚れさせることにあった。主義主張でも権力欲でもなく、好きな女性を振り向かせるために政治を動かす。女性脚本家による女性ドラマならではの展開である。

 さらに驚くことに『江』では、秀吉が将軍になるための方法を江(上野樹里)に相談している。自らの才覚で成り上がった天下人が少女に相談することはリアリティに欠ける。しかし、『江』では将軍就任を宣言した秀吉に、おね(大竹しのぶ)ら周囲の人物は途方もないことと受け止め、呆れ返っていた。石田三成(萩原聖人)だけは秀吉を持ち上げるが、褒め殺しのような内容で、バカ殿とバカ家臣のコント状態である。このような状況では秀吉は江に相談するくらいしかなくなる。非現実的な展開の中でも物語として筋を通している。

 江の提言に従った秀吉は、前将軍の足利義昭(和泉元彌)に自分を養子にするよう依頼する。あっさり拒絶されたものの、再び江の言葉に触発されて、関白を目指す。江は秀吉の有能な幕僚になっている。これまで覗き見や盗み聞きによって歴史的事件に立ち会っていた江は、政権の中枢に入り込むことになった。

 知識面では三成に及ばないが、三成は単なる解説者になっており、自らアイデアを出すことはない。最初から無理と諦めずに素直に考えて、自己の意見を発言する江には、三成とは異なるタイプの利発さがある。

 江を演じる上野樹里の当たり役は『のだめカンタービレ』の主人公・野田恵(のだめ)である。のだめの印象が強いために、江も「のだめにしか見えない」と批判されたこともあった。直感的に行動する点で江のキャラクター自体が、のだめと類似性があった。しかし、秀吉に反発しつつも助言する今回の江には、のだめとは異なる知的な側面がある。

 江は織田信長(豊川悦司)の教え「己を信じよ」に大きな影響を受けている。今回も細川たま(ミムラ)からキリスト教への入信を勧められた際に、江は「己を信じよ」の信条を持ち出している。自分に自信を持とうとする江のキャラクター設定は、ミュージシャンとしての自分に自信を持てなかったのだめとは決定的に異なる。のだめを脱皮していく上野樹里の演技に注目である。

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