玉川氏は自身のコーナー冒頭で、「ネトウヨとは何者なのだろうか」と叫び、「私もですね、色々スタッフの方に見ていただいていると、ネトウヨの方から色々言われているらしいですね、反日とかパヨク(左翼の意)とか。気になってました、どういう人なのか」と挑発するようなコメントを行う。
そして、「ネット右翼から懲戒請求を受けた」という弁護士に取材を敢行。その弁護士が「ネット右翼は若くて40代。50代が多く会社経営者や医者など社会的地位の高い人が多い」と私見を述べる。
その際、玉川氏はネット右翼について「僕のイメージだとそういうことをする、いわゆるネット右翼という人はある種若くて引きこもったり、そういう人のイメージがあった」とコメント。保守的思想を持つ人に対し、偏ったイメージを持っていたことを明かす。
次に玉川氏は元ネット右翼で、ネトウヨを研究しているという男性文筆家のもとへ。ここでも玉川氏は自身を批判する人について、「『モーニングショー』をやっている時間は朝ですよね、これをリアルタイムに見てリアルタイムにTwitterにあげているということは、どういう職業なんだろう?年齢層はどうなんだろうと思っていた」と質問。
玉川氏は「社会的地位が低い」イメージを持っているようだったが、文筆家も弁護士同様、会社経営者など地位とお金をある程度持っている人間たちだと独自のアンケート調査を踏まえて解説した。
さらに、玉川氏はネット右翼の定義についても質問。すると文筆家は、「保守系言論人の言葉を、そのままそれを自分のものにしている人という風に定義します」と回答。すると、玉川氏はなぜか「私も反日とかパヨクとか言われている。日本のことを考えて話しているんですね。だからどういうことなんだろう」と自身に対する評価への不満を見せる。
すると、文筆家はネット右翼が左翼を攻撃対象とする条件として、「韓国と中国と朝日新聞。これが嫌いかどうかです。単純にこれだけ、一個でも好きだったら反日とパヨク。思想もイズムもない」と断罪。玉川氏もこれに該当するため、「パヨクである」とする。
この後も文筆家と玉川氏はネット右翼はイズムがないと繰り返し、精神科医香山リカ氏の講演が圧力で中止になったと紹介。そしてスタジオに戻ると、「主義もイズムもないとすれば本物の右翼に失礼」と断罪する。
懐疑的な羽鳥慎一が「主義やイズムもあるのではないか」とコメントするが反応は薄く、「ネット右翼に過剰に反応しても意味はない」と声高に訴えると、コメンテーターの高木美保は笑いながら、「過剰に反応しているのは玉川さんでしょ」とツッコミ。すると、玉川氏は痛いところをつかれたのか、「だから自戒を込めて」などとコメントした。
ほぼ玉川氏の「私怨」を晴らすために制作されたという声もある27日の放送。専門家と称した一人の人物の私見をソースに、「主義もイズムもない」と断罪したことについては、ネットユーザーから「正確性を感じない」「ネット右翼からも意見を聞くべきだ」との批判が上がる。
さらに、ネット右翼の「圧力」についても、「左翼だって百田尚樹氏(作家)の講演に圧力をかけて中止させている」「安倍総理大臣への誹謗中傷は許されるのか?」などの声が上がった。また、定義についても「韓国が好きだという理由で敵視はしない」「中国好きでも問題はない」「反日的発言が問題なだけ」と異論が噴出している。
玉川氏は自身が言われのない批判を受けていると主張したが、批判は彼の発言内容が公平性を書き、日本を貶めているようにも取れるためだろう。そして、その批判者をすべて「ネトウヨ」として、真摯に耳を傾けず切り捨ててしまうことが猛批判を浴び炎上を招いている要因といえる。
今回の放送では「ネット右翼側の主張」を全く考慮しておらず、1人の文筆家による「私見」を情報ソースとしており、放送法に定められた「中立性」を欠くもの。保守的な思想を持つ人々を「ネット右翼」としてレッテルを貼り、貶めるような意図があったのではないかという見方もある。
右翼左翼問わず、特定の思想を持つ人を誹謗中傷する行為は許されないはず。その一方で、どのような主義主張も、認められるべきだろう。公共の電波を使い、保守派を「ネトウヨ」「主義もイズムもない」とレッテルを貼り、主張に耳を傾けず挑発しているともとれる放送をした『モーニングショー』と玉川氏は、公平性を欠いていると感じる人も多かったようだ。
文・神代恭介