5月19日に行われた「セイコーゴールデングランプリ陸上2019大阪」で、リオデジャネイロ五輪銀メダリストのジャスティン・ガトリン(37)と100メートル走対決に挑んだ桐生だったが、0・01秒差、距離にしてわずか10センチという僅差で敗れた。
世界のガトリンに「レース後半は桐生を意識した」と言わしめたのはさすがだが、桐生が日本人初の9秒台をマークしたのは’17年9月。以後、故障などもあったせいか、9秒台は出せていないのだ。
5月にサニブラウン・ハキームが日本人2人目となる9秒台(9秒99)を記録したことで、桐生の存在感は薄くなる一方だ。
「ガトリンだって、毎回9秒台を出しているわけではありません。『日本人初の9秒台』という記録があまりにもインパクトが強すぎた。いつも過度な期待を寄せられて、少しかわいそうな気もします」(担当記者)
とはいえ、桐生が危機的な状況にあるのは間違いない。「国内トップ」の座すら維持できていないのだ。
「山県亮太など、国内のライバルに敗れたレースもありますからね」(同)
前述したサニブラウンの9秒99、山県亮太10秒00、多田修平10秒07、飯塚翔太とケンブリッジ飛鳥が10秒08。9秒台に王手をかけている選手も多い。
また、桐生とサニブラウンのタイム差は0・01。桐生が2年近く記録を更新できていないのに対し、サニブラウンは東京五輪に照準を合わせたかのように自己記録を更新してきた。このままでは“日本人最速”の称号を東京五輪本番まで死守できない可能性もある。
「昨年末から今年2月に行った冬のトレーニング期間中、桐生は学生時代とは比べ物にならないほどの走り込みをしています。練習量がハンパじゃなかったので、ガトリンに敗れた後も毅然としていました」(同)
結果が出なければリレー要員に成り下がってしまうかもしれない。陸上界の大本命が正念場を迎えている。