社会
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社会 2018年12月05日 06時15分
北方領土4島一括返還は「そもそもありえない」ことを示している日本の歴史
北方領土問題解決への期待が高まっているが、思い返せば2年前のちょうど今ごろの時期も、北方領土がいよいよ返還されるのではないかとメディアが大騒ぎしていた。2016年12月15日、安倍首相が地元の山口県にプーチン大統領を招待して温泉旅館で会談したからだ。 しかし、「北方領土での共同経済活動の実現に向けた具体的な交渉に入ることで合意」しただけで、“残念な結果”と受け止める世論が支配的だった。 今回も歯舞諸島と色丹島の2島返還が近づいたと見る向きがある。しかし、日本には「4島一括返還」の根強い世論もある。「2島先行返還」と「4島一括返還」、どちらに分があるのか。 2年前、新党大地の鈴木宗男代表は弊誌のインタビューで「4島一括返還はない」ときっぱり言っていた。「そもそも『4島一括返還』という言葉はない。確かに、ソ連時代に日本政府はそう言っていたし、返還の上にさらに『即時』まで付けていた。それは、旧ソ連が『領土問題はない』と言っていたからだ。しかし、1991年のソ連崩壊後、日本は段階的な解決論に方針転換した。だから、日本政府は91年以降、『4島』なんて言ったことがない」 歴史を振り返れば、日本は1951年9月8日のサンフランシスコ講和条約で、千島列島を放棄した。西村熊雄外務省条約局長(当時)は、その千島列島に国後・択捉が含まれると国会で答弁した。歯舞と色丹は北海道の一部という説明だった。 1956年の日ソ共同宣言とは、当時の鳩山一郎首相とソ連のフルシチョフ第一書記との間で結ばれた条約で、そこには、「平和条約締結後に、歯舞群島と色丹島を日本に引き渡す」と明記されている。ソ連はサンフランシスコ講和条約に署名していなかったため、日ソ国交正常化はこの共同宣言でなされた。 「2006年に国会で、西村熊雄の答弁が今も有効なのかどうか質問したが、政府は有効だと言っている。日本の政治家の中にも、サンフランシスコ講和条約はソ連が署名していないので、日本は放棄していないことになると、すり替えの答弁をしていた人もいた。また、1956年にアメリカは『ソ連と平和条約を結ぶのなら沖縄は還さない』と恫喝してきた事実もある」(鈴木代表) 4島一括返還を主張する人の論拠はこうだ。1945年8月の終戦間際、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄して宣戦布告、日本がポツダム宣言を受諾した後もソ連軍は侵攻を続けて北方領土を不法に占拠した――ということだ。 しかし、時系列で言えば、ソ連が北方領土へ兵を進めたのは米戦艦ミズーリ号の甲板上で日本が降伏文書にサインした9月2日以前の話。終戦間際のどさくさに紛れてかすめ取ったという側面はあるものの、日本とソ連は戦争状態にあったのだから、北方領土の占領を不法というには無理がある。また、北方4島を「日本固有の領土」と主張するのは、第二次大戦(太平洋戦争)の結果を受け入れていないことになる。 そして2001年、森喜朗政権下でも北方領土返還の可能性が出てきたが、その後、小泉純一郎政権になってひっくり返った。「私は、森総理時代の2001年3月のイルクーツクでの森・プーチン会談、あのときが一番、島が近づいたと思っている。しかし、01年4月に小泉政権が誕生し、逆に島は離れていってしまった。小泉さんはアメリカべったりだったし、日ロ関係について過去の経緯も知らなかった。その結果、空白の日ロ関係10年になってしまった」(鈴木代表) 領土問題は関係国のナショナリズムを刺激するため、強いトップリーダーの判断でしか解決できない。戦争で失った領土を、血を流さずに取り戻したことなど世界の歴史において一度もないのだ。
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社会 2018年12月04日 18時15分
岡山県で発砲事件! 六代目山口組系組幹部の自宅に放たれた2発の銃弾
巨大組織・山口組の分裂から約3年が経ち、間もなく四度目の年越しを迎えようとようとしている。 その最中に予期せぬ場所で発砲事件が起き、業界内外に衝撃が走った。12月2日の午後8時10分ごろ、六代目山口組系組幹部の岡山県津山市にある自宅に、銃弾が撃ち込まれたのだ。 当初、発砲音は聞こえたようだが、すでに外が暗くなっていたため弾痕が確認できず、翌朝に通報が入ったため事件が発覚。自宅の門扉と車庫のシャッターに、2発の銃弾が放たれていた。 「被害を受けたのが組事務所ではなかったから、実行犯の目的が不透明だ。漏れ伝わってこないだけで、水面下では組織同士のトラブルでも起きていたのだろうか」(事情通) 2発の銃弾に込められた意味とは、果たしてーー。 事件の詳細な背景は12月6日発売週刊実話12月20日号で
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社会 2018年12月04日 18時10分
何でも首相のせいにする「アベノセイダーズ」の面妖な面々
世の中で不満なことは何でも安倍首相に責任があると主張する人たちのことを「アベノセイダーズ」と言うそうだ。 基本的に憲法改正には賛成だが、安倍主導では、内容にかかわらず「絶対反対」という、枝野幸男立憲民主党代表はその代表例だろう。「アベノセイダーズは、桜田義孝オリンピック・パラリンピック担当大臣が、パソコンも触ったことがないのにサイバーセキュリティー担当にした任命責任を、安倍首相に問い質しています。じゃあ桜田大臣を批判した人に聞くが、パソコンを使いこなせる程度のあんたが、サイバーテロを防ぐ手立てを思い付けるのか。そもそもパソコンレベルとサイバーセキュリティーのレベルの差については、天と地ほどの違いがあるじゃないか、と言いたいですね」(政治ライター) そう言っては明治大卒の人に悪いが、高学歴で華麗な経歴をお持ちの野党のセンセイ方は、桜田大臣が千葉県出身の明大卒で、工務店、彼らから見れば、たかが大工という職歴から、桜田大臣を小バカにしているとしか思えない。 同様に安倍首相は、私立の成蹊高校からエスカレーター式に成蹊大学に進学している。これも成蹊大卒の人には悪いが、同大卒が総理大臣なんてというのは、東北大学法学部卒にして弁護士の枝野代表には片腹痛いのだろう。「旧制成蹊高校は、ほとんどの生徒が東京大学(東京帝国大学)へ進学しています。首相の父親である安倍晋太郎元外務大臣は東大法学部卒、祖父、岸信介元内閣総理大臣は東京帝国大学法学部卒、大叔父、佐藤栄作元総理も東京帝大法学部卒という華麗な政治家一族ですから、成蹊高校―東大というイメージだったのでしょう。安倍首相が在籍した当時の成蹊高も、その伝統を受け継いでおり、成績上位層は他大学を狙っていました」(当時を知る政治部記者) ちなみに首相の長兄、安倍寛信氏も成蹊大卒で、三男の岸信夫衆議院議員は慶応大卒だ。「それ以外に安倍首相が『受験・就活・婚活なし』で、何の苦労もなく人生を送ってこられた、少なくともそう見えるのが『アベノセイダーズ』には“一人前”にどうしても見えず、気に食わないのではないのでは」(同・記者) 安倍首相は、きっちりと帝王学を学んだ地頭の良い人なのだろう。そう信じたいが…。
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社会 2018年12月04日 18時00分
〈企業・経済深層レポート〉 大塚家具5年連続赤字 崖っぷち久美子社長の断末魔
かつて経営権をめぐり親子双方で激しいプロキシーファイト(委任状争奪戦)を仕掛け、マスコミで話題になった家具販売大手の大塚家具が、経営不振で追い詰められているともっぱらの噂だ。というのも11月半ばに発表された2018年12月期の第3四半期決算の売上高は、前年度比12・5%減の273億4400万円、経常利益は49億6900万円と5年連続の赤字となったのだ。しかも、この先の打開策が不透明で、今年8月には「現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる」と監査法人からゴーイング・コンサーンと呼ばれる経営へのイエローカードまで突き付けられるありさま。 大塚家具は、2014年末時点では「現金及び現金同等物の期末残高」が115億円を持つ超優良企業だった。それが2017年末で18億円にまで激減。今年12月期も34億2600万円の最終赤字を見込んでおり、このままではキャッシュ不足は明らか。最悪の事態も懸念され、それを監査法人が警告したわけだ。「大塚家具の経営陣は、メインバンクがイザとなったら融資してくれる『コミットメントライン』を契約しているので大丈夫と、取引先などには強気の姿勢を示しているともいいます。だが専門家の間では、それを疑問視する声も高まっています」(経営コンサルタント) そうした切迫した事情のためか、大塚家具は9月末から全国12店舗で最大8割引の「在庫一掃セール」を展開すると、売り場はひさびさに大賑わい。これを受け11月1日、大塚家具は10月の店舗売上高が前年同月比7.7%増と発表。同社の売上が前年同月を上回ったのは、実に15カ月ぶりのことだという。 「この売上急増で大塚家具では、さらなる大売り出しの延長を決め、なんとかキャッシュ獲得をと躍起なのです。しかし、ここ数年、ひたすら下降してきた売上の中での対前年増ですから、いくらかプラスになっても焼け石に水。苦しい経営状態は横ばいのままでしょう」(全国紙経済記者) そもそも、15カ月ぶりに前年比売上増にはなったものの、比較対象の昨年は72億5900万円の大赤字を記録した年だったという。 父親の大塚勝久元社長の経営が「古い」と従来の「高級家具会員制」から、安価な家具をメインにする『ニトリ』や外資の『IKEA(イケア)』の売り方を目指した“かぐや姫”こと勝久氏の長女・久美子社長は、経営危機にもがき苦しむ。 なぜ、ここまでの経営不振に陥ったのか。経営アナリストは、こう分析する。「付け焼刃でニトリやIKEAのマネをしても歯が立たない。ニトリは賃貸料が安い立地に出店した上、長年かけて、安く、消費者ニーズにあった商品開発に血のにじむ努力をしてきました。その上に今の好調がありますが、それと比較して大塚家具は、店舗は好立地、商品開発は高級品、その戦略から進歩していません。安易にニトリのマネをしても消費者はついてくるはずがないんですよ。今は高級品の投げ売りなので客が群がっていますが、バーゲンが終われば閑古鳥が鳴くでしょう」 そのためバーゲンと同時に仕掛けたのが、経費削減対策だ。まず経営を圧迫している売上減を補うものとしては賃貸料の削減。売り場面積を縮小した。さらに、昨年から貸会議室運営事業の大手のTKP(ティーケーピー)と提携、その空いたスペースを提供し、賃貸収入を得た。とはいえ、バーゲンや賃貸料の削減だけでは抜本的な再建は難しい。 そこで今必死になっているのが、新たに資金援助をしてくれるスポンサー探しだ。「久美子社長は水面下で複数の企業首脳と面談し、資金調達の交渉を進めています。名前が挙がったのは、これまでにTKP、ヨドバシカメラ、ヤマダ電機など。しかし、いずれも『無理』『魅力なし』とソデにされているという。その理由は久美子社長。彼女が経営側に残ることに執着していて、折り合いがつかないという話が飛び交っています」 暗礁に乗り上げつつある経営支援企業との提携。そんな中、こんな話も飛び交う。「最近、中国のEC企業アリババグループに久美子社長が急接近していると噂されています」(夕刊紙記者) そして、もうひとつささやかれているのは大塚家具を追われた父の勝久氏による救済だ。勝久氏は、高級家具販売店の『匠大塚』を展開中で、12月7日に春日部店に続き2店舗目となる大宮高島屋に新店を開く。さらに都内百貨店での出店も検討するなど好調ぶりがうかがえる。その『匠大塚』が古巣の大塚家具再建に乗り出すという話だ。 崩壊へのカウントダウンが始まっている大塚家具の動向は、2019年も目が離せない。
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社会 2018年12月04日 12時00分
金正恩朝鮮労働党委員長はよき”弟”を見つけた
10月2日、自身の改革路線を批判する反体制派ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏(59)をイスタンブール(トルコ)のサウジアラビア総領事館内で、同国の首都リヤドから派遣したキラー部隊によって殺害させ、遺体をバラバラにして、化学液で溶かし、残りを下水に流して処分させた事件の首謀者と見られるのが、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(33)だ。 ムハンマド皇太子はサウジの近代化を標榜し、それに反対する王室関係者を粛清、追放し、必要ならば牢獄に送っている。 一方、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(35)は、昨年2月13日、異母兄の金正男氏(45)をマレーシアのクアランプール国際空港でキラーの2人の女性を使って、国際的に製造・使用が禁止されているVXガスの沁み込んだ布を顔にかぶせられ暗殺した。 正恩氏もまた政敵やライバルをことごとく粛清し追放していく。13年12月には、中国の支持を受けて政権転覆を図っていたとして叔父・張成沢元国防副委員長を処刑するなど、強権政治は親族関係者まで及んでいる。 ムハンマド氏は17年6月、父親サルマン国王から王位継承者の皇太子に昇格した。一方、正恩氏もまた父・金正日総書記から帝王学を学び、父親の死後(11年12月)、金王朝の世襲3代目の指導者に就任している。 両者は年齢(皇太子=33、正恩氏=35)がほぼ同世代の指導者だ。「カショギ氏殺人事件」も「金正男氏暗殺事件」も犯行は非常に残虐だ。両件とも実行犯は別だが、命令を出したのはムハンマド皇太子であり、金正恩氏であることはほぼ間違いない。 トルコのエルドアン大統領が、犯行時の音声録音を公表したことで、ムハンマド皇太子への追及の手が及ぶ可能性が出てきたが、サウジ検察は皇太子への関与を否定する一方、実行犯を逮捕し、死刑にすると表明しているから、恐らく実行犯はサウジ国内で処刑され、口封じされるだろう。 同じことが、金正男暗殺に関わった北朝鮮工作員にも言える。彼らは生きていれば、いつ真相が漏れるか分からないから、正恩氏は口封じのために、すでに工作員をこの世から消していると思われる。「ムハンマド皇太子と正恩氏の犯行動機は、いずれも自身を批判する者の抹殺であり、殺人場所は国外、実行犯は特別編成、そして実行犯の処刑まで、犯行から関係者処分まで、皇太子は正恩氏の手口を模倣したのではないかと思えるほど酷似していますネ」(北朝鮮ウォッチャー) トランプ米大統領から”恋人”などと言われている正恩氏だが、実兄正哲氏も信用できず、唯一妹の与正氏のみが話し相手という寂しい身の上である。その意味で気持ちの通じるよき弟を見つけたといえるかもしれない。
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社会 2018年12月04日 12時00分
高校の副校長が修学旅行で泥酔して女湯に侵入、放尿…前代未聞の不祥事に批判殺到
千葉県市原市の私立高校の男性副校長・61歳が、修学旅行の引率で訪れた京都市左京区の旅館で泥酔して女湯に侵入し、放尿していたことがわかった。同校の説明では、11月23日午後6時ごろ、旅館で同僚の教員ら約10人と食事中、副校長は自ら注文したハーフボトルのワイン2本や日本酒の4合びん1本の大半を飲んだ。自室で仮眠後の午後9時45分ごろ、副校長は泥酔した状態で隣の女湯に侵入し、洗い場で放尿した。生徒の入浴時間は9時半に終わっていたが、脱衣所では部屋着姿の女子3人が片付けをしていたという。副校長は学校の調査に「泥酔していたため記憶が全くなく、のぞくつもりは一切なかった」と謝罪し、辞表を提出した。学校側は処分を検討している。 この事件に対して、ネットユーザーからは「とにかく気持ち悪い」「女湯をのぞくどころか、放尿までしたなんて最低すぎる」「コメディではよくあるシチュエーションだが、現実に起きると笑えない」といった、副校長の行動への非難の声が多数上がっていた。また、「そもそも修学旅行の引率なら勤務中のはず。勤務中に酒を飲むな」「酒のせいにしているけど、元々そういう性癖があったとしか思えない」「記憶がないっていうのもうそっぽい」といった、副校長の事情説明に対する疑問の声も見られた。 2013年12月、女装して女湯の脱衣所に入ったとして、建造物侵入の疑いで、沖縄県小学校教諭の男・31歳が現行犯逮捕された事件があった。男は長めの髪のかつらとマスク、スカートで女装して脱衣所に入ったが、不審に思った客が従業員に通報。従業員が声をかけたところ逃げようとしたため、取り押さえた。男は「裸を見たくて入った」と容疑を認めていたとのこと。 修学旅行の引率で副校長が女湯で放尿となると、前代未聞の所業。この修学旅行は3泊4日の旅程で、2年生約250人が参加し、最終日に起きた事件であり、せっかくの修学旅行を台無しにされた生徒たちの心の傷も心配だ。文/浅利 水奈
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社会 2018年12月04日 07時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第296回 真の「将来世代の悲劇」
財務省の「飼い犬委員会」と断言できる財政制度等審議会は、11月20日、2019年に向けた意見書を麻生財務大臣に提出した。審議会は「借金の返済負担を将来世代にツケ回ししている」と指摘し、将来世代が「悲劇の主人公」となると断じた。 要するに、財政破綻論に基づく緊縮財政を「強化せよ」という話である。特に、高齢者医療や大学の予算削減(審議会は「予算改革」と呼ぶが)に注力するように求めた。 とはいえ、話はまるで逆なのだ。そもそも、日本の赤字国債が増えているのは、デフレーションが継続し、税収が不足しているためだ。デフレの国は、物価と「所得」が共に下落していく。我々が「所得」から税金を支払う以上、デフレーション=税収減とならざるを得ない。結果、赤字国債が発行される。 すなわち審議会が本気で赤字国債の発行を抑制したいならば、政府の「財政拡大」により需要を創出し、デフレギャップ(=供給能力―総需要)を埋めるしかないのである。審議会は’18年の財政運営について「借金を膨らませた」と表現しているが、とんでもない。安倍政権は財務省や審議会の望む緊縮財政を継続しており、結果的にデフレギャップが埋まらず、わが国のデフレ脱却は果たせていない。 要するに、安倍政権が財務省や審議会が望むほど「強烈な緊縮財政」を強行していないからこそ、緊縮強化を求めているのだ。安倍政権の緊縮財政も問題だが、審議会は「それでも足りない」と主張しているのである。言葉を選ばずに書かせてもらうと、狂っている。 デフレーションからの脱却は、民間主導ではできない。理由は、デフレで需要(市場)が縮小する環境下では、企業が設備投資に乗り出さないためだ。さらに実質賃金が下落するため、家計も住宅投資に踏み切らない。設備投資や住宅投資は「先送り」が可能なのである。そして、デフレ期の民間にとって、投資という需要を先送りすることが合理的なのだ。 また、安倍政権は’14年の消費増税で、日本のGDPに占める割合が最も大きい個人消費という需要を潰した。消費税は「消費に対する罰金」であるため、家計は消費を減らすことが合理的になる。結局、デフレ脱却を主導できるのは政府しかないのだ。その政府が財務省の圧力で緊縮路線を突き進み、財政拡大や減税による需要創出には乗り出さない。挙句の果てに、「まだまだ緊縮が足りない」 と、審議会からクレームをつけられているというのが日本の現実なのである。 とはいえ、財務省や審議会がどれほど情報を歪めようとも、我が国に「財政問題」など存在しない。何しろ日本政府の負債(主に国債)は100%日本円建てで、しかも量的緩和の影響で、日本銀行が45%超を保有しているのである。日銀は政府の子会社だ。日本政府は、子会社からの借り入れについて返済や利払いの必要はない(別にやっても構わないが、自分が自分に借金返済や利払いをすることになる)。 そもそも、日本の財政が本当に危機ならば、国債金利が上昇しなければならない。ところが、現実は下図の通りだ。 日本の中央政府(いわゆる「国」)および地方自治体の長期債務残高は、’86年には200兆円程度だったのが、’17年には1100兆円を突破した。審議会に言わせれば「クニノシャッキンが5倍になった! 破綻しないはずがない!」のだろうが、金利を見て欲しい。日本国債(十年物)の金利は、バブル期には6%を上回っていたにも関わらず、その後は急落。現在は「ゼロ」近辺で推移している。 無論、日銀の量的緩和の影響もある。とはいえ、日本の国債金利は黒田東彦氏が日銀総裁に就任する’13年の前から低迷している。 なぜ、財政破綻、財政破綻と騒がれる日本国債の金利がここまで低いのか。ちなみに、日本国債の金利は、世界でスイスに次いで低い。世界第2位の超低金利なのだ。 「なぜ、日本国債の金利がここまで低いのか」と書いたが、実のところ理由は明白である。もちろん、デフレだからだ。デフレの国では、企業は設備投資をせず、銀行融資を受けない。また、家計もローンを組んでまで住宅を建てようとは思わない。 銀行の仕事は、預金を集めることではない。というよりも、前回解説した通り、預金とは「銀行の貸し出し」により創出されるカネだ。銀行はカネを貸し出すことで、金利収入という「所得」を稼ぐことができる。銀行の仕事は「カネを貸すこと」なのだ。ところが、デフレの国では民間がカネを借りようとしない。結果的に銀行は政府にカネを貸す、つまりは国債を購入することで金利収入を得ようとするのだ。 日本の国債金利の低迷は、わが国の財政破綻があり得ないことを示している。とはいえ、必ずしもいい話ではない。 日本の金利低迷は、わが国がデフレで、民間の借り入れが細っていることを意味しているのである。 さて、審議会の言う「将来世代の悲劇」である。将来世代が「悲劇の主人公」になるとは、財政の話ではない。日本の財政破綻はあり得ない。だが、このまま緊縮財政が継続すると、わが国のインフラは老朽化、防衛力も弱体化、社会保障制度も崩壊、教育も荒廃、科学技術も劣等国となり、日本は小国化する。小国化した日本国で暮らすことこそが、将来世代の悲劇だ。 そして、財政破綻論の影響で、わが国はこのままでは普通に小国化し、将来世代の悲劇が実現することになる。我々の子供たち、孫、その先の子孫に「悲劇の暮らし」を送らせたくないならば、財政破綻論を潰さなければならない。********************************************みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2018年12月03日 22時10分
東京23区「区役所の近くのマンションは値上がりする」は都市伝説か
「区役所の近くのマンションを買った方がいい」そうだ。区役所の最寄り駅は、さほど利便性の高い駅ではないが、意外なことに値上がり率が高い。 区役所のある場所はよい立地どころか、あまり利便性がよくないと思われる場所であることが多い。たとえば千代田区は東京駅ではなく東京メトロ九段下駅、中央区も同新富町駅、港区は都営地下鉄御成門駅で、これらはターミナル駅でもないし、決して駅として資産性の高そうな駅とは言いにくい。 品川区は東急大井町線の下神明駅、世田谷区はチンチン電車風の世田谷線の松陰神社前、杉並区は丸の内線の南阿佐ヶ谷駅、足立区は東武スカイツリー線(旧伊勢崎線)の梅島駅か五反野駅、葛飾区は京成立石駅、江戸川区に至っては都営新宿線の船堀駅からバスを使わなければならず、歩ける距離ではない。 実際、これらの駅はその行政区の中でも割安な立地である。そうした立地でも区役所の周辺で総じて資産性が保たれるのは、どこに理由があるのだろうか。 しかも日常生活の中で、特別な用事がある場合以外に役所に行く機会はそれほど多くない。役所へのアクセスがいいという利便性だけでは、マンションの資産性が高いことの説明にはならない。 しかしよく考えると、区役所立地の中には、区の中心をイメージさせる駅が多い。例えば新宿区役所は、巨大ターミナル新宿駅に近い、台東区役所も歌にも多い上野駅、墨田区役所は東京メトロか東武スカイツリー線の浅草駅、大田区役所の蒲田駅、渋谷区役所の渋谷駅、中野区役所の中野駅、練馬区役所の練馬駅などだ。 このように区の名前と駅の名前が同じところも多い。ということは、役所以外に商業施設も含めてオフィスや商業ビルが多く、色々な機能が集積している場所だといえる。つまりこうした事例から「区役所のあるところは区の中心地」というイメージが刷り込まれていると考えてよさそうだ。 都庁のように大江戸線が引かれたりする例を見ると、時間をかけて「中心地」を形成していく可能性も高い。目黒区役所に近い中目黒駅は、目黒区の中心になりつつあるし、千代田区の九段下駅は、高級住宅地の番町の近くで、不動産価値を高めている。また、板橋区の板橋区役所前は、都営三田線の駅名になって知名度を上げている。こうしてみると再開発計画が浮上しやすい区役所周辺は、値上がりしやすいといえるのだ。
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社会 2018年12月03日 12時00分
「耳がジンジンしたから」奇妙な犯行動機で69歳の男がスーパーの商品の袋に鎌で穴を開ける
東京都日野市のスーパーで10月、グラニュー糖や塩などの商品14袋に鎌で穴を開けるなどしたとして、69歳の男が威力業務妨害の疑いで11月末に逮捕された。店内の防犯カメラに商品の袋に穴を開けている男の様子が映っており、事件後、スーパーの従業員が他に被害がないか商品の安全点検を強いられたという。被害に遭った商品の総額は5000円弱。取り調べに対し、男は「このスーパーの食べ物で、耳がジンジンしたからやった。パンを買って食べたら体調が悪くなったので、個人的な恨みでやった」と容疑を認めている。 この事件に対して、ネットユーザーからは「耳がジンジンって何?」「パンを食べたせいで体調が悪くなったなら、普通に文句を言えばよかったのでは」「なんにせよ、店にとっては迷惑極まりない犯行」と、男の犯行と供述内容への疑問の声が多数上がっていた。また、「なんらかの病気なのではないだろうか」「正直、正常な状態の人間とは思えない」「こうした事件を起こす人の脳内ってどうなっているんだろう」といった、男の異常性に言及する声も見られた。 今年6月7日、千葉県市川市の大型スーパーで、陳列されていたハンバーガーを手に取って指で穴を開けている様子が防犯カメラに映っていたことから、自称無職の67歳の男が偽計業務妨害の疑いで千葉県警行徳署に逮捕された。男は5月27〜30日にかけて、食品売り場のワゴンで特売されていた、少なくとも6個のハンバーガーの袋に指で穴を開け、売り物にならないようにした。スーパーでは4月上旬から、カップ麺やヨーグルトのフタ、サンドイッチの袋に穴が開けられる被害が相次ぎ、6月4日に被害届を出していた。男は容疑を認めたものの、動機に関しては「自分でも言葉ではうまく言えない」と供述したという。 こういった犯罪を起こす人間は、なんらかの原因で、自分自身でも感情のコントロールをすることができなくなっていた可能性がある。再犯防止のためにも、その後のケアを行ってほしいところだ。文/浅利 水奈
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社会 2018年12月03日 07時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★日産で起きたクーデター
11月19日に東京地検特捜部が、金融商品取引法違反の疑いで、日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏と同社代表取締役のグレッグ・ケリー氏の2人を逮捕した。ゴーン氏は、直近5年間の報酬を総額50億円と有価証券報告書に記載していたのに、実際は2倍の100億円を受け取っていた。 逮捕を受けて、20日の東京株式市場では、日産の株価が5%強下落。理由の一つは、ゴーン氏なきあとの経営への不安だ。ゴーン氏は、’99年の入社直後に日産リバイバルプランを発表し、当時2兆円以上あった有利子負債をたった4年でゼロにする奇跡を起こしたことで、その経営力が高く評価されている。ただ、ゴーン氏が行った経営改革は、工場の閉鎖・売却、2万人を超えるリストラ、そして下請けの半分を切り捨てるコストカットであり、取り立てて目新しい戦略ではなかった。だから、ゴーン氏がいなくても日産はやっていけるだろう。 もう一つの理由は、日産が上場廃止になる懸念だ。実際、’04年に西武鉄道が有価証券報告書の虚偽記載を理由として上場廃止になっている。上場廃止で、資金調達に行き詰まった西武鉄道は、ハゲタカファンドのサーベラスからの出資を仰ぐ羽目になり、一時は経営権を奪われかけた。ただ、日産が上場廃止になる可能性は低いだろう。今回の逮捕は、周到に準備されたクーデターとみられるからだ。 その証拠に、ゴーン会長に逮捕状が執行される前に、日産はゴーン氏解任のための取締役会を開くと発表している。同時に日産側は、ゴーン氏の犯罪を告発した内部通報者が罰せられないよう、検察当局と司法取引をしている可能性が高いのだ。そうした点を考えると、ゴーン氏にすべての責任を負わせて、日産は上場継続ということで、東証と話がついている可能性も高いのではないだろうか。 問題は、ゴーン氏がなぜ、こんな犯罪に手を染めたのかということだ。最大の理由は、彼の高額報酬に対する世間の批判が強いからだろう。ゴーン氏が会長を務めるフランスの自動車メーカー、ルノーの株主総会では、ゴーン会長の報酬が9億を超える高額であることが問題になり、54%の株主が報酬案に反対した。結果、ゴーン氏は報酬の一部削減に追い詰められたのだ。 ただ、ゴーン氏の直近の報酬は、日産7億円、三菱自動車3億円、ルノー9億円と、3社合計で20億円近くに達している。これまでの経歴を考えると、ゴーン氏の手元には100億円以上の資産が残っているだろう。そんな大金持ちが、なぜ犯罪に手を染めてでも、裏金のような形で報酬を増やそうとしたのか。 もちろん、最大の要因は、彼が長年権力を握り続けたこと。長期の権力は、必ず腐敗するのだ。ただ、もう一つ重要なことは、お金は持ちすぎると、“お金中毒”という病気にかかってしまうということ。100億円もお金があれば、孫の代まで全員が遊んで暮らせる。それでも、不正な形で、お金を増やそうとするのは、お金中毒になると、お金を増やすことでしか、幸福を感じられなくなってしまうからだ。 今後、中毒患者の発生を防ぐためにも、企業の役員に億単位の報酬を支払うアメリカ型経営は、そろそろ抜本的に見直した方がよいのではないだろうか。
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社会
都知事選 浅野スニーカー街頭演説でセクシーポーズ
2007年03月24日 15時00分
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社会
都知事選 石原氏満員電車でGO!
2007年03月23日 15時00分
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社会
都知事選きょう告示、石原氏ら第一声
2007年03月22日 15時00分
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社会
桜金造都知事選正式表明
2007年03月20日 15時00分
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社会
都知事選 黒川氏が石原知事をホリエモン呼ばわり
2007年03月19日 15時00分
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社会
ホリエモン実刑
2007年03月16日 15時00分
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社会
丸山弁護士東京都知事選出馬へ
2007年03月09日 15時00分
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社会
石原カジノ構想消滅!?浅野氏に“追い風”吹く
2007年03月07日 15時00分
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社会
上層部スタッフが告発 NOVA 怪文書
2007年02月21日 15時00分
特集
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【独自】元ザブングル松尾陽介、沖縄で芸人のセカンドキャリアサポート 芸人引退に「心境の変化」
芸能ニュース
2025年04月28日 19時03分
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【独自】YouTuberゆたぼん、短期間留学で“自分に勝つ” 昨年のホリエモン、DAIGOとのレスバの思い
芸能ニュース
2025年04月18日 20時55分
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【独自】MEGA BIG2億円当選者・造船太郎、“楽して”儲けたい 興味はNHK党への出資が0円になるか3億円になるか
社会
2025年04月21日 18時25分
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カラテカ入江慎也、闇営業で得た教訓は「人と人をつなぐ怖さ」 反社の見極め方は「金の使い方」
芸能ネタ
2025年06月01日 12時00分