海の向こうでは、2007年に始まり、あの世界的テナー(?)であるポール・ボッツなどを輩出した《ブリテンズ・ゴッド・タレント》や、2009年に始まり、人気KポップグループのINFINITEやmissAのメンバーなどを生んだ《SUPER STAR K》のような巨大オーディション番組が、実は今やほかにも無数にある。
「《SUPER STAR K》は即席でコンテスタントにユニットを組ませて人間性を見るなど、番組自体も面白い。今では、韓国人の30数人に1人の割合で、同オーディション参加者がいるそうです」(芸能ライター)というから驚き。
いっぽう、「《ブリテンズ・ゴッド・タレント》でも、ほとんど、日本人の名前を聞きませんね。同番組では、かつて、ハヤシと名乗る日本人風の男が危険極まりない日本刀のパフォーマンスを見せて、辛口審査員のサイモンや観客の英国女子たちを驚嘆させました。が、実はカナダ出身でドイツ国籍のマジシャンだった。“ハヤシ”は、今や同じパフォーマンスで世界中のオーディション番組を荒らしているたんなる芸能人だったのです」ということで、日本人の素人コンテスタントの名前も、ほとんど聞かないのである。
すると、冒頭の問いの答えは、意外なところに潜んでいた。
「かつて、エイベックス・グループの創立20周年記念事業<avex WORLD AUDITION 2008>こそあったのですが、いかんせん、日本語が出来る外国人が少ないのです。逆に、海外オーディションに日本人コンテスタントが少ないのも、言葉の壁に阻まれているから。つまり、(前出の)“ハヤシ”のように、『危険なのに勝ち抜いてしまったら、お前はどうすんだい?』というサイモンの質問に対し…、『今度は、自分の命を晒すさ』と啖呵を切って“YES”を勝ち取るような名場面は生まれない、ってことです」(芸能事務所関係者)
そのハヤシも、日本語だけはしゃべれない、というオチもついているようである。
言葉の壁があっては、番組はスリリングに盛り上がるまい。
制作費が100億円を超えるとも云われる、《SUPER STAR K》のような世界的オーディション番組を日本の民放やNHKが作る予定は、今のところなさそうだ。
逆に言えば、東方神起をはじめとした、日本語のスキルがバリバリのKポップアイドルたちは、特に根性がすごいという再評価にもつながりそうである。