人気があるのが、ヒトラーの時代のナチスドイツ軍の制服である。中でも武装親衛隊物と称する、軍服の襟にSSのルーン文字や、髑髏の襟章のある軍服は特に高価である。武装親衛隊の迷彩スモックの実物と言えば、軽く五十万円は超えるだろう。
彼等はそれらの軍服を身に纏っては、マニア特有の満足感に酔いしれるのである。中には銃弾痕のある物や、血の付いた物もある。それさえもマニアにはお宝なのである。
当時のドイツ軍兵士の血潮が付いた軍服、その生命を奪った弾痕のある軍服を身に着けていては、その服に宿る兵士等の悲しみや怒りが、購入者に降りかかるのは、むしろ当然とも言えるだろう。
渋谷にはかつて、ドイツ軍の軍装品を扱う老舗があった。現在は店を畳んでいるが、当時はそれなりにマニアの憧れの場所であった。そこで働く店員から、以前面白い話を聞いたことがある。
何でも、実物のドイツ軍のヘルメットで、しかも側面には弾痕のあるヘルメットをあるマニアに販売したという。買った本人はその実物ヘルメットを自室に飾って就寝していたそうだ。
彼はそのヘルメットを買った日から、夜毎ヘルメットの使用者の霊に、うなされる事になったという。その購入者はわずか一週間もしない内に、そのヘルメットを店に返品したそうである。返品されたヘルメットはしばらく店に展示されていたそうだが、また別のマニアに買われていったそうである。
(藤原真 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou