今年、その頂をゲットしたのは、衝撃的なビジュアルの三浦マイルド。本拠地の大阪でも知られていない芸人が、完勝した。しかし何よりの衝撃は、決勝ステージに立った三浦、ヒューマン中村、アンドーひであきがそろって、無名である点だ。
ヒューマンは、2011年から3年連続で決勝舞台に立っているが、全国ネットの番組に出演するのは、このときだけ。アンドーにいたっては、ショーパブやライブハウスが拠点のため、テレビ出演は昨夜が初めて。そんな夢舞台で、R-1史上初となる言葉を発しないパフォーマンスで魅了したのだから、今後、台風の目となりそうだ。
史上初といえば、桂三度vs三遊亭こうもりの落語家対決も見逃せなかった。三度は、世界のナベアツとして08年に決勝進出。元は、漫才師のジャリズム。構成作家の渡辺あつむとしても活躍する。いっぽう、こうもりは元ピン芸人の末高斗夢。おととし、三遊亭好楽に弟子入りして、末高時代には成し得なかった、夢の決勝進出を決めた。
あまり知られていないが、『R-1』の“R”は、落語の頭文字。つまり、初の落語家決戦は、大会の原点を象徴しているのだ。
三度の師匠は、桂文枝(元・桂三枝)。審査員のひとりだったが、持ち票3票のうち、弟子に1票も投じなかった点は、大きく評価できた。タレントゲストとして客席で観覧していた高嶋政伸は、フジテレビ系列のドラマ『サキ』を、多部未華子は『ラストホープ』の番宣をそれぞれ、ネタ寸評のドサクサに紛れてブッ込んだだけに、文枝の“ガチ評価”は際立った。局の意向と、真摯な落語家。この“裏攻防”も、大会の見どころだった。