警視庁組織犯罪対策5課は3月8日までに、刑務所内で受刑者に覚せい剤を渡したとして、府中刑務所(東京都府中市)の看守・野殿浩幹(のどの・ひろき)容疑者(31=同市晴見町)を覚せい剤取締法違反(所持)容疑で、受け取った受刑者の有木健太容疑者(32)を同法違反(使用)容疑で逮捕した。
野殿容疑者の逮捕容疑は6日、府中署に自首した際、覚せい剤0.367グラム(時価約3万円)を所持したとしている。有木容疑者は2月下旬から3月7日、刑務所内で覚せい剤を使用したとしている。
ともに容疑を認めており、同課によると、野殿容疑者は「受刑者に菓子をあげるなど、便宜を図るうちに要求がエスカレートした」と供述。有木容疑者に「ここまでやったら一緒でしょう」と言われ、覚せい剤を買いに行くよう指示されたという。金銭などの見返りは受けていないと話している。
野殿容疑者の供述によると、2月下旬、服役中の有木容疑者から依頼を受け、関西方面の指定場所まで出向いて覚せい剤と注射器を購入。その後、有木容疑者に渡し、使用後に覚せい剤の残りと注射器を返され、職員官舎で保管していたという。
上司が2月下旬、有木容疑者の態度がおかしいことに気付き、担当の野殿容疑者に事情を聴いたところ、覚せい剤を渡したことを認めたため、6日に府中署に自首させた。
有木容疑者は06年に兵庫県警に同法違反容疑で逮捕され、懲役2年2カ月の実刑判決を受けて別の刑務所に収監。刑務所内で暴れるなどして公務執行妨害容疑で逮捕され、府中刑務所に移されていた。
法務省の西田博・矯正局長は「事実であれば極めて遺憾。矯正当局でも全容解明に努め、全刑事施設に対して緊急に行うことのできる措置を講じ、不適正処遇防止の徹底を図る」とコメントしている。
(蔵元英二)