当初、ゴーキャットジムは暫定王者だったが、WBAは右眼窩(がんか)底を骨折し、当面、防衛戦を行えない状況に陥った正規王者の清水智信(30=金子)を前代未聞の“休養王者”に事実上、降格させ、ゴーキャットジムを正規王者に昇格させた。これによって、大毅の一戦は正規王座戦として行われることになったのだ。
これに対して、クレームをつけたのが清水陣営。同陣営は11月29日に会見を開き、この疑惑のタイトル戦を認めたJBC(日本ボクシングコミッション)に対して、休養王者の定義、WBAの暫定王座戦を認めない根拠などについての質問状を提出。回答期限を12月5日とし、納得いく回答がなかった場合は王座返上すらちらつかせていた。
JBCからの回答書は6日に届いたが、ほとんどが無回答か、はぐらかす内容。ほぼゼロ回答で、同陣営を落胆させたが、わずかな前進もみられた。同陣営は清水の初防衛戦のプロモート権を持つ亀田陣営との話が進展しないことを吐露していたが、これに進展がみられたのだ。
清水の問題に触れた大毅は、王座を奪取した場合、「いつでもやりますよ。あさってでも、しあさってでも」と統一戦を公約。この発言を伝え聞いた清水は「自分は王者として、挑戦を受けます」と語った。
立会人として、来日しているWBA幹部のレンソ・バグナリオル氏は、清水を休養王者としたことについて、「(試合が)できないと判断したための措置。ランキングの停滞を防ぎ、興行を続けるため」と説明。同氏は「休養王者は今回のタイトル戦の勝者と対戦する第一の権利がある。清水側が希望して、WBAに申請すれば、我々は必ず闘えるようにする」と後押しした。
JBCからの回答は不満足な内容だったが、清水陣営は統一戦が実現した場合は、タイトル返上などのアクションには移らない方針を示した。
この約1カ月、WBAと亀田陣営のゴリ押しに翻ろうされた清水。今回の勝者との統一戦で勝って、留飲を下げたいところだろう。
(落合一郎)