清水は8・31日本武道館で同級王者のウーゴ・カサレス(メキシコ)を破り、同級の“正規王座”を奪取した。ところが、清水はこの試合で右眼窩(がんか)底を骨折し、当面、防衛戦を行えない状況に陥り、来春の復帰を目指していた。
そこで、亀田陣営は3兄弟の次男・大毅(22=亀田)が、12・7大阪でWBA世界同級暫定王者だったテーパリット・ゴーキャットジム(タイ)との対戦をプラン。しかし、WBAが暫定王座を乱造するため、JBCが2月に国内でのWBA暫定王座戦を認めないことを決めたため、国内でのこの暫定王座戦は不可能。そこで、飛び出したのが亀田陣営とWBAのウルトラC。
WBAは正規王者の清水を休養王者に事実上、降格させ、暫定王者のゴーキャットジムを正規王者に格上げ。これで、この一戦は正規王座戦として行われることになり、JBCもこれを認めた。
この措置に清水陣営が納得できるはずがない。11月13日の祝賀パーティーで清水は、「個人的には今後、亀田兄弟とはリング上で関わりたくない」と涙の抗議をしたのだ。
そして、清水陣営は11月29日に都内で会見を開き、清水がパーティーで感情的発言をしたことを謝罪した上で、JBCに質問状を提出した。そのおもな内容は、休養王者の定義、2人の王者に序列がないとしたWBAの根拠。序列がないとした場合、実質上正規王者が2人存在することになり、タイトルの権威を低下させることになるが、JBCは容認するのか。また、清水の負傷が正当なものとして認められたのであれば、暫定戦が認められてしかるべきで、WBAの暫定戦を認めないJBCのルール上の根拠など。
清水陣営の要望は清水を正規王者に戻して、大毅の試合を暫定王座戦か挑戦者決定戦にすべきというもの。回答期限は12月5日とし、納得いく回答がなかった場合は、陣営は王座返上すらちらつかせた。
また、大毅対ゴーキャットジムの勝者は、清水が復帰次第、統一戦を行うべきだが、清水の初防衛戦のプロモート権を持つ亀田陣営とは話が進展しないといい、その点でも亀田陣営に不信感を募らせている。
ハッキリ言って、この“疑惑”の世界戦はWBAと亀田陣営が演出したもので、JBCは板ばさみになった恰好。しかし、JBCがWBAの言うままに流されてしまったのは事実。JBCが清水陣営にとって納得いく回答を示さなければ、事態はまさに泥沼化する恐れがある。
(落合一郎)