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北京五輪野球 また新たな敵出現も星野監督は冷静

 星野ジャパンに、また新たな敵が出現した。試合開始の5分前なら、先発メンバーを交換できるという珍ルール。タイブレーク制の導入など突然の変更に慣れっこになっていただけに、星野監督は笑い飛ばしただけだった。今夜は、五輪野球で1勝5敗と苦手にする最強のライバル、キューバ戦。正々堂々の戦いを宣言する闘将の采配が注目される。

 「あほらしくて、やってられないよな」
 監督会議の休憩時間に出てきた星野監督。先発メンバーを2人まで、変更できることになったルール変更について触れたあと、漏らしたひと言だった。

 昨年12月、台湾で行われたアジア予選。宿敵、韓国がこの手を使ったのが最初。星野監督はメンバー変更は認めないように主張したが通らなかった。
 「スポーツの常識も、いろいろあるってことだな。おれは使わない。そんな姑息(こそく)なことをしなくても、勝ってみせるよ」
 タイブレークが導入された時は激怒。今回は抗議するのもばからしくなったのか、冷静だった。
 五輪野球は、今回がとりあえず最後になる。各国とも勝つために必死。特に開催国の中国は野球の歴史が浅く、予選突破さえ厳しい状況に置かれている。そのせいか、11日に組織委から渡されたボールが「五輪公式球」とは異なるという珍事もあった。現地で取材するスポーツジャーナリストがこう言う。
 「ボールを手にした大野投手コーチが『全体的に大きめだし、縫い目も違う』とびっくりしていました。北京に来る前の直前合宿のものとは、はっきり違う。慣れるしかないが、選手は『国際試合の洗礼なんだろうな』と、そんなに慌ててはいなかった。それが救いと言えば、救いでしたね」
 しかも、渡されたボールはわずか2ダース、24個。どうだ、練習になるか、と挑発しているとしか思えない数だ。
 「何より、投手がボールに慣れることが最優先されます。24個のほとんどは投球練習に使われたはずです」(前出・同)
 打撃練習や守備練習では違うボールを使うしかない。実戦練習不足が指摘される日本には、また難題が降りかかったことになる。しかも、練習用グラウンドにもワナが仕掛けられていた。なぜか日本だけが、大会が開かれる球場での練習を割り当てられなかったのだ。
 しかし、この程度で泣きが入るようでは勝ち抜けないと言うのは、海外での国際試合の取材経験が豊富なスポーツ紙デスク。
 「海外では何でもありが常識。宮本を入れたのも、国際戦の経験の多さを買ってです。宮本ならどんなことが起きても対処できる。星野監督が全幅の信頼を置いているのも当然です」
 タイブレークに始まり、ボール、そしてルールの変更。この3点、中国以外はおそらく出場国に共通のハンデ。これらを乗り越えてこそ、真の王者になる。
 予選初戦のキューバ戦、星野ジャパンの戦いに注目だ。

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