バナナが初めて日本にやってきたのは明治時代。台湾から輸入され、大正時代には「バナナのたたき売り」をする露店商がすでに九州にいたとか。戦後、昭和30年代の終わり頃には東京の果物屋さんに並んでいたが、当時はとても高い果物だったそう。おばあちゃん世代の子どもの頃は1本を家族で分けて食べた思い出が。現在は、台湾産バナナ以外にもフィリピンやエクアドルなどから大量のバナナが輸入され、とても安く食べられるようになった。この野菜高騰時に一房100円で買える日もある、庶民の味方。
安いけれど痛みやすいのも特徴のバナナ。「ゲゲゲの女房」の水木しげる夫婦が皮が黒くなったバナナを食べていたように買って数日置くとすぐ黒くなってしまう。輸入のバナナは収穫時に腐らないように大量の農薬を降りかけて(ポストハーベスト)日本に入ってくるため、多少長持ちするが農薬が皮についているため、子どもが皮をかじったり手でふれたりするのはあまり良くない。バナナは買ってきてから1本1本キッチン用石けんで洗うなどした方が安心してたべられる。保育園などでは皮の上から熱湯をかけて消毒している所も多い。
おやつやデザートに1本食べるにはちょっとボリュームがありすぎるバナナ。写真のように皮ごと上下を切り落とし、食べやすい形にカットして食卓に並べてみる。すると、いつものバナナがちょっと違った美味しさに。急な子供たちの襲来にも、バナナとカステラ一切れなど残りもののおやつをこまかく切って並べるだけ。思い思いのスティックで競うように食べてくれる。熟してやわらかくなったバナナは潰して、ホットケーキの元に混ぜて焼いてみるのも美味しい。牛乳と砂糖とバナナを入れてミキサーにかければ美味しいバナナジュースの出来上がり。そのまま食べるだけじゃもったいない、まさにいろいろな顔をもつ果物だ。