これにて、2人のメモリアルプログラムはいったん落ち着きを見せるが、堂本剛が突発性難聴に見舞われたのは思わぬ誤算だったに違いない。
そもそもKinKiは、ジャニーズ初の男性デュオ。ジャニー喜多川社長が、「100年に1人の逸材が偶然同じ時期にそろった」と近来稀に見る猛プッシュで、堂本光一と剛を組ませた。“堂本”と同じ姓なのは、偶然。血縁関係はいっさいない。そして、兵庫県出身の光一、奈良県出身の剛の好素材を生かすため、関西弁を標準語に変えることなく育てた、ジャニーズ初のアイドルでもある。“KinKi”は近畿をさす。改名プランの際に挙がったのは、KANZAI BOYA。命名したジャニーさん的には、“S”を“Z”の表記にしたのがお気に召した。
ジャニーズ事務所はとかく「初」に固執するが、KinKiの場合は特に多い。先の初デュオで関西弁初もしかりだが、今なおギネス記録を更新し続けている項目がある。今月発売されたシングル『The Red Light』が、24日付のオリコン週間シングルランキングで初登場首位を獲得したことで、「デビューからのシングル首位連続作品数記録」のギネスを「38作」に伸ばした。さらに、「シングル1位獲得連続年数」を21年連続に更新して、これまでタイだったB’zの20年連続を上回り、アーティスト歴代単独最多もダブルで打ち立てた。
ちなみにシングルは、97年のデビュー曲『硝子の少年』が史上最多(当時)179.2万枚を売り上げたのを筆頭に、同年11月の『愛されるより愛したい』は164.4万枚、翌98年の『全部だきしめて/青の時代』は115.9万枚、翌99年の『フラワー』は104.6万枚を突破。現存するジャニーズユニットで唯一、4枚ものミリオンヒットを量産している。
ソロに目を向けると、光一は主演ミュージカル『Endless SHOCK』。00年の初演(『MILLENNIUM SHOCK』)以降、全日程が即日完売する記録を持っている。さらに、会場となる東京・帝国劇場で初のフライングを導入。06年には、帝劇史上最速ペースで、単独主演作400公演を突破している。今年3月には、通算上演回数1500回を達成。ミュージカル単独主演記録1位を、みずからさらに更新している。
対して剛は、08年に地元・奈良市の観光特別大使に任命されてから、ジャニーズ初の神社仏閣ライブを定期的に開催。8年目となる今年も、京都・平安神宮で9月1日から3日まで行われる。堂本剛の名義で02年にソロプロジェクトをスタートさせているが、これはジャニーズ初となる自作曲でのデビュー。08年には244 ENDLI-X(ツヨシ・エンドリックス)、09年には剛紫(つよし)のアーティスト名義を追加し、奏でる音楽によって名前を変えている。
12年には、関西の大手私鉄の近鉄西大寺駅から徒歩圏内に、shamanippon shipという期間限定のライブハウスを建設。自身のライブを長期で開催するためと同時に、地元の経済発展のために建てたものだ。当然、ジャニーズの歌手が自身のライブだけのために常設小屋を建ててしまうのは、前代未聞だった。
まだ見ぬ道を開拓しつづけてきたKinKi。改革者である光一と剛の21年目の野望にも、期待がかかる。