ライザップの瀬戸健社長(40)は業種を問わない積極的なM&A(企業の合併・買収)がアダとなった格好だ。
ライザップは、東証1部のカジュアル衣料販売のジーンズメイトや、補整下着メーカー、住宅建築会社から出版社まで、ここ2年で50社超というハイペースの買収を仕掛けてきた。
「当初は、ジムで痩せた顧客にファッションを提案し、おしゃれな住空間やエンターテインメントまで、各サービスを生涯にわたって提供していくという“RIZAP経済圏”構想をぶち上げ、それに沿った企業を買収していたのですが…」(経済ジャーナリスト)
こうした買収劇によって、確かにライザップグループは大幅に売り上げを拡大したが、買収した企業の中には万年赤字が続き、商品力が弱い企業もあったという。
「一時は大塚家具にも興味を示したほどですが、次第に構想から縁遠い業種まで手を出し始めた。企業買収のやり方は素人同然で、一部では“ライザップ特需”とバカにされ、M&A仲介業者からカモにされていた。今回の赤字も必然でしょう」(M&Aの専門家)
この路線にストップをかけたのが、カルビー前会長兼CEOだった松本晃氏だ。同氏は、今年6月にライザップグループに招かれ、当初は「おもちゃ箱のような楽しいイメージ」と評していたが、こうした企業買収の手法に苦言を呈していたとされ、今回の赤字転落と同時にM&Aの凍結も発表した。
ジムの会員に対しては、食生活まで厳しく管理するライザップだが、企業買収では“暴飲暴食”の末、ぶくぶくと赤字が膨らんだ。おあとがよろしいようで。