昨年のグランプリ馬マツリダゴッホが、連覇へいよいよカウントダウンに入った。
首尾よく歴史的偉業を達成した暁には、スピードシンボリ(1969、70年)、シンボリルドルフ(84、85年)、グラスワンダー(98、99年)、シンボリクリスエス(2002、03年)といった歴代の名馬に肩を並べる。
陣営はいたってリラックスムードに包まれている。これが王者の風格と、余裕なのか。「状態に関して不安な点は何ひとつない」と万全の仕上がりを強調する国枝調教師。「どっしり落ち着いていて、ヤル気がないのかなって。毎日、一喜一憂しているよ」と笑いを誘った。
宿命のライバル、ダイワスカーレット対策は?と水を向けても柳に風。「マサヨシ(蛯名騎手)におんぶにだっこ。すべて任せているよ」と煙に巻いた。
当の蛯名騎手も「アンカツ(安藤勝騎手)さんに知られたら困るから(作戦は)明かせない」と口にチャックをして、周囲を笑わせた。ピリピリした緊張感はかけらも感じられない。
昨年はその他大勢の一頭(9番人気)にすぎず、言葉は悪いが棚からボタ餅を手に入れた格好だった。が、今年は押しも押されぬ真打ちに成長を遂げた。
蛯名騎手は「(前々走の)オールカマーで差す競馬を身につけ、脚質に幅が出た。ようやく本格化したね」と自信を見せる。続くジャパンCがその証し。鬼門の左回りで0秒2差4着ならもう本物だろう。まして、<7111>、重賞5勝とメンバー屈指の実績を誇る中山コースなら怖いものはない。人事を尽くして天命を待つのみだ。
【最終追いVTR】蛯名騎手を背に、坂路を1本上がった後、ポリトラックで単走。テンはゆったりと入ったが、5F標過ぎから徐々に加速。抜群の手応えのまま直線を迎えると、クビを上手に使ったフットワークで糸を引くように伸びてきた。究極の仕上がりだ。