今年も欧州クラブナンバーワンを決める戦いの開幕が近づいてきた。
3回戦まで行われた予選が8月27日に終了し、今季の欧州最強を争う32のクラブチームが出そろった。現地時間16日からはグループリーグが開幕する。12月10日までの全6戦をホーム・アンド・アウェー方式で争い、各グループの上位2チームは決勝トーナメント1回戦に進出する。
1回戦から準決勝まではホーム・アンド・アウェー方式の2試合で雌雄を決し、決勝戦は2009年5月27日、イタリア・ローマのスタディオ・オリンピコで開催される。
2007〜08年シーズンは、マンンチェスター・ユナイテッドが、チャルシーとのイングランド対決を制して史上3度目の王者に輝いた。
昨季の決勝はまさに激闘だった。舞台はロシア・モスクワのルジニキ・スタジアム。マンUは前半26分にクリスチアーノ・ロナウドのヘッドで先制。だが45分にはチャルシーのフランク・ランバードに得点され、同点に追いつかれた。
その後は一進一退の攻防。結局、延長戦でも勝敗は決まらなかった。
降りしきる雨の中で行われたPK戦も7人目までもつれる行き詰まる攻防となった。マンUはGKエドウィン・ファン・デル・サールがニコラス・アネルカのシュートを止めて勝利。1998〜99年シーズン以来となる栄冠を手にした。ロナウドは8得点で、このシーズンの得点王にも輝いた。
今季のマンUは、ロナウドのレアル・マドリードへの移籍問題に揺れたが残留。UEFAクラブ・フットボール・アワード年間最優秀選手、年間最優秀FWにも選出されたエースは欠かせない存在だ。アレックス・ファガーソン監督が「良いチームに仕上がったと思う。若い選手たちが間違いなくステップアップを遂げ、欠かせない存在になった」と太鼓判を押すように、ロナウドをはじめ、アンデルソンやナニ、ウェイン・ルーニーら昨季の優勝を支えた選手たちがさらなる成長を遂げている。
主将を務めるガリー・ネビルも「戦力は(同じく連覇を狙った)1999年当時よりも充実している。このチームには計り知れない力が備わっている。連覇の可能性も高いと考えている」と、1990年のACミラン以来となる連覇への手応えを口にした。大型補強のなかった今季のマンUだが、主力選手の大半がチームに残留し、若手が成長を遂げたことで戦力的に円熟味を増した。
攻撃陣ではルイ・サアがエバートンに移籍したが、移籍期間終了間際の今月1日になって、今夏に獲得を目指していたブルガリア代表FWディミタル・ベルバトフと4年契約を結び、その穴を埋めた。ファーガソン監督は「これは重要な補強。彼のスタイルと能力はチームに新たな側面を与えてくれるだろう」と興奮気味に話しており、連覇を狙うチームに新たなテイストを与えそうだ。
グループリーグのE組のライバルは、オールボー(デンマーク)、ビジャレアル(スペイン)、セルティック(スコットランド)の3チームだ。中村俊輔を要するセルティックとの対戦は、日本のファンにとって注目カードとなりそう。
マンUはグループリーグの組み合わせに恵まれたといわれている。ライバルに比較的移動が楽なチームが多く、ファーガソン監督も「組み合わせ抽選の結果には満足している」とニンマリ。
円熟味を増したチームに、新戦力も加わり、さらには運にも恵まれた。連覇に向けて視界は良好といえる。