横粂氏は人気テレビ番組「あいのり」に東大卒の「総理」の愛称で出演した過去を持つ。トラック運転手の家庭に育ち東大の門をくぐって弁護士になった雑草魂が、世襲批判の追い風を受けてモーレツに追い上げる。
“雑草候補”の日課は毎日50キロ、自転車で選挙区を回ること。26日のJR久里浜駅での街頭演説では、遊説カーから遅れること3分。自転車をこいで本人が登場した。
日焼けした肌がまぶしい横粂氏は「麻生首相は『金がないなら結婚するな』と言いました。違うんです。結婚のための『子ども手当て』を創設するべきなのです」と福祉の充実を叫んだ。
投開票日まであとわずか。選挙戦の手ごたえを尋ねると、「駅前の街頭演説は厳しいですが、練り歩きではドーンと盛り上がったりします」と笑顔で答えた。
しかし、「小泉王国」横須賀は昔から自民が強い土地柄。「地盤・看板・カバンの三バンは強く感じる」という。選挙期間中、選挙区内の祭りを回った際に、有権者から「ここは自民党だ!!」と怒鳴られる一幕もあった。「ホテルとか祭りとかを回ろうにも、もうすでに自民の人が来てるよといわれる。これが現実なのかなと」
だが、人気では引けを取らない。特に「あいのり」を見ていた女子中高生らからは大人気。「総理だ!」と囲まれては、携帯電話でツーショットをせがまれる。JR衣笠駅近くでは女子高生から「授業中手を振るんで、もっとウチの高校側に来て下さいよ〜」とラブコール。女性受けのいい小泉氏に負けず、なかなかのモテっぷりで、陣営も4年後のほうが受かるかもと苦笑いだ。
これでイケメン対決は一歩リード? ご本人は「イケメンなんて恐れ多いですよ。進次郎さんはそうでしょうけどね。写真を撮られるのもテレビに出てた物珍しさだと思っています」と謙虚だ。
ルックス勝負では勝ちを譲っても、選挙では手を抜かない。「さらに壊れていく4年間を選ぶのか、壊れたものを立て直す4年間を選ぶのか」と訴え、夜の9時まで改札から出てくる有権者に「お仕事お疲れ様でした」と頭を下げ続けた。
同区には他に伊東正子氏(68=共産)、鶴川晃久氏(35=幸福実現)、岩田吉喜氏(50=無所属)も最後の訴えを続けている。(関)