島村氏の“寝返り新証言”を報じたのは、朝日新聞、産経新聞、そして新潮のライバル誌とされる週刊文春。朝日、新聞は1面でニュースとして報じるとともに、手記を掲載した新潮の責任を問う関連記事も掲載した。
文春は「オレは阪神支局襲撃の実行犯じゃない」とタイトルをつけ3ページさいた。島村氏の正面顔写真入り。最長6時間の面談取材を計5回以上したという。島村氏は同誌に対し、事件の実行犯ではなく「若い衆にやらせた」と話している。新潮に掲載された襲撃場面の描写についても、一橋文哉氏の著書「『赤報隊』の正体」(新潮社刊)などのパクりだとしている。関係者によると、島村氏は「オレは実行犯じゃないんですよ。連載1回目を見たときは心底驚きました」などと話しているという。文春は「手記の信ぴょう性は根本から崩れ落ちた」と断じた。
島村氏は産経に対してもベラベラしゃべっている。1面記事のほかに特集を組み、同紙記者が4月上旬、複数回にわたる対面取材や電話取材を経てまとめた発言要旨などを掲載。手記が掲載される前、新潮と島村氏のあいだで交わされたとする「覚書」の存在を明かしている。島村氏が手記掲載後、証言を虚偽であったと発表した場合、「それは脅迫によって書かされたものである」とする内容らしい。
朝日は1面で、手記掲載をめぐって新潮が島村氏に計90万円を支払っている事実をスクープ。新潮は朝日の取材に「原稿料」などと答えている。 新潮は7日、島村氏が「自らの手記を否定するかのような不可解な発言をしている」として、来週16日発売号で経緯を説明することを明らかにしている。新潮は1月29日発売の2月5日号から島村氏の手記を4回にわたって掲載。朝日は検証記事を掲載して内容を「虚言」と断じ、4月1日には紙面で訂正と謝罪を求めている。