「彼はデートの時も常に携帯を見ながら、人気商品が定価で販売されていないかチェックしていましたね。それで商品を購入できたら、オークションに転売して利益を得るという生活を行っていたんです。しかし彼は無職。もし普通の会社員で、転売は副業としてやっているぐらいならばまだよかったのですが、将来のことを考えると、ちょっと不安でしたね」
彼は他に収入がないため、常に小遣い稼ぎの方法を考えていたという。そしてその行為は、真紀さんとのデートの時にまで影響が出始めたのだった。
「私は映画が好きなので彼と映画デートを計画しました。それでお昼過ぎに待ち合わせしようと思っていたのですが、彼の方から午前中から集合したいと連絡があったんです。それで朝から待ち合わせ場所に向かうと、彼に案内されて早速映画館へ。でもチケットを買って、フロアに入ると思いきや、なんと彼は映画の特典のカードだけを貰って、そのまま映画館を出て行ったのです」
最近の映画では、入場者特典として映画に関係したアイテムが貰えるサービスが珍しくない。そこで真紀さんの恋人は、その特典も転売しようと考えていたという。
「都内は、場所によってたくさんの映画館が密集してるじゃないですか。なのでその後、彼は別の映画館に行って同じことを繰り返し、映画を見ずに特典だけ貰うという行為を、3館ハシゴして付き合わされたんです。その時はさすがにドン引きしましたね。最後に映画は見ることができたのですが、もう体はヘトヘトに疲れましたし、この人とは2度とデートしたくないと思いました」
「儲かったお金はあげる」と提案されたというが、真紀さんはお金のために、そこまでしたくないと考え、すぐにその恋人とは距離を置いたという。
取材/構成・篠田エレナ
写真・Sarah_Ackerman