4月10日に開かれた大阪府市統合本部会議で、大阪が世界的都市を目指すための都市魅力戦略の一つとして、大阪城・西の丸庭園でのモトクロスの世界選手権大会開催を提案したのだ。
「もっとも、とあるバイクメーカーの提案によるもので、橋下市長のオリジナルではありません。ただ、“隠れバイクマニア”の血が騒いだのか、即、前向きに検討するよう指示が出たのです」(府政担当記者)
大阪城とモーター・スポーツ。一見、突飛な話のように聞こえるが、実は全く無縁というわけではない。'09年には大阪城公園内の特設コースでF1のデモ走行が行われ、レッドブルのフォーミュラカーがお堀端を走り回ったことがあった。その時は城の外周部分の公道を使用したが、今回はれっきとした城内。それも文化財指定の歴史的名勝をコースに使おうというのである。しかし、愛好家以外の反応は極めて冷ややかなのだ。大阪城に詳しい歴史研究家の鈴木一男氏は語る。
「我々が申請した大阪城研究に関する助成金をカットして、それでモトクロスですか? 賑やかにはなるでしょうが、正直、意図がよくわかりません」
現在、西の丸庭園は文化財の指定を受けており、工事を加えモトクロス選手権を開催するには法律上のハードルが高く、実現には疑問が残るのが現状だ。しかし橋下市長は「府を通じて国に許可を求めたい」とあくまでも前向き。これに、ある自民党市会議員は皮肉を言う。
「いつものことですが、この前向きこそがクセ者。最近の大阪城は、観光客に代わって若者層の客が少しずつ増えています。選挙が近いので、いかにも彼らが喜びそうなイベントを持ち出したということでしょう」
ちなみに橋下市長は大阪城に関し、他にも旧市立博物館の美術館転用のアイデアも出している。天下統一に向け、大阪城改革は実現するのか。