今年3月、高知競馬からは初めてとなるJRAへの移籍を果たした鷹野宏史騎手(美浦・二ノ宮厩舎)が18日、待望のJRA初勝利を挙げた。かかとを骨折しながら根性でクリアした2次試験を経て見事に合格。そして、移籍から2カ月半、63戦目での勝利だった。
鷹野騎手は地方競馬通算2190勝を誇るトップジョッキーの一人。だが、高知競馬ではJRAの認定レースが行われておらず、JRAでの騎乗経験はない。すべてが一からのスタートだった。
「目にするものすべてが新しく規模も大きい。井の中の蛙(かわず)って、こういうことかと思い知った」
そんななか、彼は43歳にして騎乗フォームの改造に挑んでいる。地方と中央では勝手がまるで違うからだ。「高知では10ある馬の力を11、12出す騎乗が必要だったが、中央では10ある力を10出し切ることが要求される。馬を動かすというよりも、馬に合わせる感じ」
ダートと芝、馬そのものの能力の違いなど、今までと一緒では対応しきれないことを痛感させられた。「高知時代は腰を据えて重心を後ろに置いていたが、こちらではもう少し前に置いて乗らないといけない。調教での時計の感覚も今までとは全然違う」
高知ではリーディングにも輝いたが、そんなことは関係ない。一人の新人騎手として新しい「鷹野宏史」を作り上げるという大きな課題にチャレンジしている。「40歳を超えての挑戦はとても不安だったが、今は競馬漬けの毎日が楽しい」
3年後には実現するであろう、JRA騎手学校1年生の次男・文裕君との親子対決が今から楽しみだ。