G1覇者でも至宝奪還できなかった。
1986年3月にUインター日本武道館大会で行われて以来、史上2度目となる他団体でのIWGPヘビー級タイトルマッチ。真夏の祭典G1クライマックスを初出場初優勝した新日プロ最強のチャレンジャー、後藤が敵陣に乗り込み、外敵王者の武藤と対峙した。
序盤から百戦錬磨、45歳のチャンピオンを力でねじ伏せた。グウランドの攻防を制し、執ようなネックブリーカードロップ、エルボードロップで首を集中砲火。戦前に610秒決着を予告していた通り、序盤から一気呵成に攻め立てた。
間髪入れずに牛殺しからジャーマン、立て続けに伝家の宝刀、昇天まで発動。大技連発で畳みかけたが、スタンドの大「ムトウ」コールを受けカウント2・99でチャンピオンの肩があがる。ならばと再度昇天に打って出るも、これを首へのドラゴンスクリューで返されてピンチ到来。さらに完全に息を吹き返した武藤からシャイニング弾6連発を被弾し息も絶え絶え。
そのまま最後は21分13秒ムーンサルトプレスにあえなく3カウントを献上。後藤は「昇天まで最高の形に持って行けたのに…」「連戦の疲れがあった」などと悔しさをにじませるしかなかった。
全日マット初となるIWGP戦を要求した外敵王者にV2を達成されてしまい、試合後は新日勢の2人が動いた。
まずは前チャンピオンで、後藤のセコンドについていたRISEのリーダー、中邑が武藤に詰め寄って挑戦を表明。それどころか、ドヒール軍団GBHを率いる真壁もどこからともなく乱入してきて「オイ、う○こち○ちん、武藤さん、おまえ強いんだろ!? 次の挑戦者はオレだ」とマイクアピールだ。
早くも2人が名乗り出た次期挑戦者の座。同社・菅林直樹社長は「真壁選手に関しては、ラフファイトを慎まなければなりませんが、G1準優勝の実績もありますから今回ばかりは認めざるを得ない。現時点で真壁選手と中邑選手、どちらにも挑戦者の資格はある」と、9・21神戸大会で行われる次期タイトル戦に向け、早急に挑戦者を擁立する方針を明らかにした。