2位ソフトバンクに3.5G差を付けてのM4と、優勝をほぼ手中に収めたと思われた西武が、18〜20日の敵地・福岡での対ソフトバンク3連戦で何と逆3タテを喰らい0.5差、優勝の行方がまったくわからなくなってしまったのだ。
特に、対ソフトバンク3連戦での西武の負け方がいただけなかった。中島、フェルナンデスら破壊力抜群の上位打線がタカ先発陣を打ち崩しておきながら、涌井、帆足らエース級の先発陣が踏ん張れずKO、そしてこのチーム最大の弱点である層の薄い中継ぎ陣が火に油を注ぎ、3戦すべて逆転負けという結末。さらに20日の3戦目では、3年連続盗塁王の攻守の要・片岡が試合中に右脚を負傷し、そのまま車イスで病院直行。公式戦残り4試合の出場は難しく、登録抹消という最悪の事態となった。
土壇場で弱り目に祟り目状態となった西武とは対照的に、3連勝のソフトバンクは、西武との天王山で松中、小久保、多村ら主砲のバットが完全に息を吹き返し、ベンチのムードも最高潮。自慢のリリーフ陣も、連投続きの勤続疲労と闘いながらも、連日気迫のピッチングを見せている。特に天王山3戦目、1点差で9回表2死1、3塁の大ピンチで、12球粘られながら中島を三振に斬って勝負を決めたタカの守護神・馬原のピッチングは、もしソフトバンクが逆転優勝したならば「優勝に繋がるキーポイント」として、後生まで語り継がれることであろう。
久々に訪れたリーグ優勝のチャンスに、福岡のホークスファンのボルテージも「こら優勝ばい!」と、最高に盛り上がっている。ソフトバンクはこのまま、奇跡の逆転優勝を決められるのだろうか。しかしどうも、そうは問屋が卸さなさそうなのだ。
「依然西武が有利であることには変わりありません。西武の残り試合は4試合ですが、そのうちの3試合が楽天戦なんですよね。ここが重要なポイントなんです。
楽天はソフトバンクに対して、同じIT企業として、異様なまでのライバル心を持っています。『とにかくソフトバンクには勝て』というのが、三木谷オーナーを筆頭とする楽天首脳陣の至上命令なんです。極端な話、『他チームには全部負けてもソフトバンクには全部勝て』ぐらい思ってますから、彼らは(笑)。
その楽天が、ソフトバンクに追い詰められた西武相手にどう戦うか…。もうおわかりですよね? 彼らは間違いなく『自チームのプライド』よりも『ソフトバンクにイイ思いをさせない』ことを優先してくるでしょう。
まあ見ててください、楽天は西武にやすやすと白星を3つ、気前よくプレゼントするはずですよ…」(元スポーツ紙記者)
ソフトバンク逆転Vの最大の障壁は、日程のアヤということか。
いずれにしてもホークスが奇跡を起こすには、残り試合3つを全勝し、天命を待つしかないようである。