改札を出て右、踏み切りを渡ってしばらく直進。Y字路を左に行くと、行列ができている。毎月第三土曜日は、必ずといっていいほどこの行列ができている。
一体何のために人は並んでいるのか? 答えはその行列の先にある、一つのプロレス会場にある。
U-FILE CAMP調布ジム。様々なスタイルの格闘技道場として一部で有名になっている。
一つのスタイルにエンタテインメントがある。それがここ、西調布格闘技アリーナで月に一回行われている『STYLE-E』の大会なのだ。
2003年9月17日、北沢タウンホールで行われたPWCの大会で、一人のプロレスラーがデビューを果たす。
男の名は田村和宏(たむらかずひろ)。後にSTYLE-Eを、一つの団体として立ち上げたレスラーの一人である。
田村はPWCのみならず、日本全国津々浦々を駆け巡りプロレスを学ぶ。自身はU-FILE CAMP出身であり、総合格闘技で名を馳せた田村潔司の弟子。そんな田村和宏たちが、2004年3月21日に旗揚げしたのがSTYLE-Eという団体である。
月日は流れ、STYLE-Eが旗揚げされてから、6年以上の歳月が流れている。
毎週第三土曜日の定期興行の日は必ず晴れるというジンクスもあり、都内で定期的に興行を行っているインディー団体の中で、ここ最近は毎回100名以上の観衆を集めている注目すべき団体だ。
そんなSTYLE-Eが今年9月18日、初めて一回り大きな会場である新木場1stRingで興行を行う。
新木場大会直前となる8月21日の大会、当日の天候は晴れ。131名の観客を集め、大会が始まった。STYLE-E認定無差別級王者である竹田誠志(たけだまさし)が負傷欠場する中、熱い闘いが繰り広げられる。
メインイベントでは、新木場大会で竹田の保持する無差別級王座に挑戦する獅子一色(ししいーそう)の安部捨丸(あべすてまる)が、敵対する“STYLE-Eの象徴”ともいわれる田村和宏とタッグを結成。田村の同門で、在京インディー界では屈指のヘビー級レスラー柴田正人(しばたまさと)と、現IWA認定世界ジュニアヘビー級王者で、北関東を中心に活躍するプロレスリング・アライヴの末吉利啓(すえよしとしひろ)のタッグと激突した。
DDTのKO-Dタッグ王座にも挑戦経験のある柴田&末吉組に比べ、敵対する田村と安部は常にギクシャクした関係。タッチをして交代する際はパートナーを場外に放り出す始末。コーナーに釘付けにした相手に攻撃を仕掛ける際も、「お前が投げられろ」と口論を始め、相手にその隙をつけ込まれる。
タッグチームとして実績のある柴田&末吉のパワーとテクニックの前に、虫の息であった田村&安部。しかし最後は、機動力を生かした田村&安部が、ヘビー級の柴田を合体式の丸め込み技である「タムラ〜ニャ現象Part3」(安部の焙烙玉(ほうろくだま)と田村のジャックナイフ式エビ固めの合体技)でフォール勝ち。
試合後、プロレスは力だけじゃなくて頭も必要なんだとばかりに頭を指差しアピールする田村。勝った勢いで「ベルトを俺の腰に巻いてやる」と、本部席で観戦していた竹田を挑発する安部。
新木場大会を前に勢いがついた感が見えるSTYLE-E。最高観客動員を記録した、旗揚げ6周年興行の186名を超える人数を動員することができるのだろうか。
様々な団体で活躍する藤田ミノルは、『SECRET BASE』などで暴れまわっているCHANGO&アミーゴ鈴木と組み「西調布MINORU組合」を結成(藤田MINORU、CHAN・MINORU、アミーゴMINORUと、STYLE-E限定リングネーム)。
全日本で活躍する稔との対戦を熱望していた田村和宏との一連の抗争劇が、先月のシングル敗戦により一時終結。21日の試合では成長株の若手3人、666の山田太郎&ガッツワールドの吉野達彦&DDTの高尾蒼馬との対戦。獅子一色の趙雲”骨”子龍の乱入から、CHANが山田に金星を与える結果になってしまう。
藤田は西調布MINORU組合の解散を宣言、自分たちは死んだと告げる。だが、セミファイナルのリングに乱入した新たなる姿は…妖怪に生まれ変わり「ミミミの組長」こと藤田MI太郎、アミゴの親父、砂かけCHANGOの「西調布妖怪組合」となり、今後も悪の限りを尽くすことを宣言する。
元所属であった玲央(れお)の所属再デビュー、練習生那須の新木場大会デビューと明るい話題も多いSTYLE-E。レギュラーメンバーの負傷欠場が続き、危機に立たされたこともあったが、新木場前の最後の大会を大成功に収め勢いに乗る。
他団体が裏で興行を行っていたこの日、地元に貢献し続けたSTYLE-Eは羅針盤を見定め、最後の航路に向かって旅立った。9月18日、長く続く航路の停泊地である新木場1stRingはどうなるのか?
(Office S.A.D. 果野巌(はたしの・いわお))
◆『新木場目前!STYLE-E決起集会スペシャル』
2010年8月21日(土)
会場:東京・西調布格闘技アリーナ(観客131名)
<メインイベント「決起せよ! スタイルE!!〜新木場への挑戦状〜」タッグマッチ60分1本勝負>
○田村和宏&安部捨丸(18分02秒 タムラ〜ニャ現象Part3)●柴田正人&末吉利啓
<セミファイナル「幻想!幻惑!現実!〜リングに潜む伊賀忍術〜」タッグマッチ30分1本勝負>
○スパーク青木&小部卓真【IWA JAPAN】(10分58秒 回転エビ固め)●趙雲”骨”子龍&猿飛恭介
※乱入した砂かけCHANGOの砂攻撃から
<第3試合「若き勇者達の下克上〜スタイルEフレッシュvs.西調布MINORU組合〜」6人タッグマッチ30分1本勝負>
○山田太郎&高尾蒼馬&吉野達彦(15分56秒 片エビ固め)藤田MINORU&●CHAN・MINORU&アミーゴMINORU
※ダイビング・ダブルニードロップ
<第2試合「これからが本番だぎゃ〜!〜西調布vs.名古屋第2弾〜」タッグマッチ20分1本勝負>
○ヒデ久保田&ヤス久保田【スポルティーバエンターテイメント】(9分06秒 片エビ固め)佐々木大輔&●妻木洋夫【ユニオン】 ※758i
<第1試合「玲央再デビュー戦〜絆が生んだ決意〜」シングルマッチ15分1本勝負>
○ダイスケ【ガッツワールド】(8分16秒 片エビ固め)●玲央 ※スライディングD
◆『来たぞ新木場!〜STYLE-Eワールド2010』
2010年9月18日(土)開場:18:30/開始:19:00
会場:東京・新木場1stRing
【入場料金】
スーパー西調布シート5000円(指定席 イス席1列目・2列目)
西調布シート4000円(自由席)/小中高生自由席1000円(当日500円増し)
【決定分カード】
<STYLE-E認定無差別級選手権試合 60分1本勝負>
(王者)竹田誠志 vs.(挑戦者)安部捨丸
<シングルマッチ 60分1本勝負>
田村和宏 vs. 大谷晋二郎【ZERO1】
【プレイガイド】
チケットぴあ(自由席のみ)Pコード816-251
【新木場大会チケット予約サービス】
(キャンセル不可)ticket@style-e.net(9月17日まで)