「例年、5月場所は鬼門。多くの家庭が直前のゴールデンウイークで散財してしまい、相撲見物どころではなくなるせいですが、今年は売り出し直後から絶好調。5年ぶりの大入り8回は確実な勢いで、担当の親方たちも『消費税が上がって心配していたけど、まったくの杞憂だった』と笑顔を見せています」(担当記者)
この裏に、新横綱・鶴竜の誕生や、このほどようやく小さなマゲが結えたイケメン力士、遠藤人気があるのはいうまでもないが、腰の重さでは定評のあった相撲協会のファン拡大戦略も見逃せない。
力士に抱かれた赤ちゃんは元気に育つ、という昔からの言い伝えをうまく活用し、この夏場所から売り出した平日限定の“抱っこ権付きチケット”はあっという間に完売。また4月26、27日には、千葉市の幕張メッセでインターネット動画投稿サイト『ニコニコ動画』と連動した巡業も初めて開催。大相撲に縁遠そうな若いネット世代にアピールし「10代、20代の人ばかり。こんなことは初めてだ。ぜひ来年も、再来年も続けてほしい」と横綱・白鵬もすっかり上機嫌だった。
夏場所中は、顔の部分をくり抜いた女性に人気の高い遠藤の“お姫さま抱っこパネル”も2台用意している。2月に催した抱っこ会に、8000人もの応募があったことを受けた女性向けのファンサービスだ。
ただし、これらの多くは北の湖理事長に嫌われて理事から追い落とされた九重前事業部長兼企画部長(元横綱・千代の富士)のアイデア。この春、その後任の企画部長には貴乃花親方が就任した。
果たしてこの流れをどう盛り上げていくのか。その手腕が今後、問われることになる。