主演はブラッドリー・クーパーとレディー・ガガ。彼女はキャラが強いため、“役作りには不利なのでは?”と思った方もいるでしょう。私も見る前はそうでしたが、彼女の自然な演技は素晴らしかった!
ブラッドリーも、あのナイスなルックスで、『ハングオーバー!』シリーズや『世界にひとつだけのプレイブック』で魅了してきましたが、今回の彼はお酒に溺れたちょっと不潔なロック歌手。でも、今までで一番フェロモンが溢れ出ています。
この作品は、もともとクリント・イーストウッドを監督に、そして、主演はビヨンセでやる予定でしたが、ビヨンセがオメデタに。そのため、イーストウッド監督が『アメリカン・スナイパー』でタッグを組んだブラッドリーにお願いしたのが始まり。でも、結果的によかったのではないかと私は思います。ぜいたくを言えば、両方のバージョンを見てみたいですが…。
ブラッドリー演じる有名ロック歌手ジャクソンは、コンサート後、飲み足りず訪れたバーでレディー・ガガ演じるアリーが歌っていて、その才能に一目惚れする。すぐに意気投合したものの、アリーにとってはジャクソンはスーパースター。現実離れしたお誘いに、若干引き気味ながら、コンサートを見に行くことに。アリーの才能を信じているジャクソンとスターを夢見るアリー。この2人は徐々に奇跡を起こします。
ただし、このままだと、よくある“スター誕生物語”。この時代、それだけではさすがに満足できない。この2人の運命は思ったよりも過酷で、ラストシーンは忘れることができません。
私は、普段からいっぱい映画を見ます。でも、この映画のラストの表情、静けさ、そして心の中の悲しみは一生忘れないでしょう。人生は人と人の繋がり。この2人も素晴らしいものを経験しましたが、あとは実際に見て、感じてほしい。
ブラッドリーの監督としての才能も素晴らしい。カット割り、観客を引きつける力、大きな出来事をあえて静かに描くこと、そして数々の素晴らしい曲! メイン楽曲『シャロウ』で年末年始のストレスから癒やされてください。
画像提供元:(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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■アリー/ スター誕生
監督/ブラッドリー・クーパー 出演/レディー・ガガ、ブラッドリー・クーパー、アンドリュー・ダイス・クレイ、デイブ・チャペル、サム・エリオット 配給/ワーナー・ブラザース映画 12月21日(金) 全国ロードショー。
■昼はウエイトレスとして働き、夜は小さなバーで歌っているアリー(レディー・ガガ)は、音楽業界でスターになることを夢見ながらも、自分に自信がなかった。周囲からは容姿も否定されるアリーは、ある日、ひょんなことから出会った世界的ロックスターのジャクソン(ブラッドリー・クーパー)に見いだされ、ショービジネスの世界に飛び込んでいくが…。
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LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。