気象庁は昨年5月に茨城と栃木県で確認された計3本の竜巻が、いずれも発達した巨大な積乱雲「スーパーセル」から生まれた可能性が高いとしている。
「今年も、6月に入り上空にマイナス15℃の寒気が張り出しており、連日30℃近い猛暑となった気象条件からスーパーセルが誕生しても不思議はない状況にある。1日は全国的に快晴で運動会を行う小学校が多かったのですが、気温が上昇したため上空の寒気と反応し合い、グラウンドでつむじ風が観測された場所が少なくありませんでした」(サイエンス記者)
同日は北海道旭川市の小学校で大型のつむじ風が発生し、運動会のため校庭に設営されていたテントが倒れる被害が出た。巻き上げられた土や砂は一時、10メートル前後の高さにまで達したという。旭川地方気象台は、市内の午後2時ごろの気温は24・0℃だったものの、やはり上空に寒気があったため、上昇気流により「じん旋風」(つむじ風)が発生したと見ている。
ジャーナリストの村上和巳氏が言う。
「私自身もつい最近、小規模な竜巻に似た上昇気流を見ました。これまで竜巻が発生する場所は、関東地方では栃木、茨城、埼玉の内陸部が多かったのですが、実は気象条件さえ揃えば都内でも十分起こりうる。昨今のように上空に寒気が浸入し、地面付近が急激に高温になると上空に向かってどんどん上昇気流が発達する。それが活発化するとスーパーセルが生まれます。すでに真夏日が続く6月以降は、注意が必要です」
竜巻注意報が出たら、まずは丈夫な鉄筋コンクリートの建物などに逃げ込むことが重要だ。
「停電した場合は、電柱がなぎ倒されるほどの竜巻が発生している可能性があるので、最も安全な空間といえるトイレに避難してください」(同)
竜巻の他にも集中豪雨や雷被害をもたらす「スーパーセル」に警戒だ。