松井秀は今シーズン、6日(日本時間7日)のオリオールズとの開幕戦に4番指名打者で出場。1号2ランを放ち、日米通算本塁打記録を445本に伸ばし、師匠の長嶋茂雄元監督の444本を超える、幸先のいいスタートを切った。
昨年9月、古傷の左ひざを手術し、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への出場も断念。今季は4年契約の最終年とあってか、万全のコンディションを作りあげてきた。その成果を示すメモリアル・アーチだった。
だが、開幕戦でのメモリアルアーチから一転、注目を集めた巨人時代の元同僚、上原浩治投手との初対決でノーヒットに抑え込まれると、翌日からはスタメンから外れた。16日のエンゼルス戦で久々にスタメンに復帰し、2打数1安打3四球だったが、再びその後は代打要員に甘んじている。打率はいまだ1割9分4厘(20日現在)とパッとしない。
今シーズン開幕直後には、米国のヤンキース番記者から低評価を下された。7人の記者による成績予想の平均は、打率2割8分7厘、23本塁打、94打点。ヤンキース打線の一角を担う選手としては物足りない低評価だ。だが現在の松井秀の成績は、それをも下回っている。
米国番記者のほとんどが今オフに契約が切れ次第、松井秀がヤンキースから放出されると予測している。大リーグ通の1人が証言する。
「確かに米国内における松井秀の評価は決して高くはない。しかも、今シーズンは、昨年9月にメスを入れた左ひざの状態は思わしくない。故障者リスト(DL)入りも時間の問題とさえささやかれている。今の左ひざの状態では、満足のいく成績を残すのは厳しいと言わざるを得ないだろうし、契約が切れ次第、チームの構想から外れる可能性は十分でしょうね」
松井秀自身、渡米前には今シーズンに懸ける悲壮な決意を語っている。
「今年は僕の野球人生の分かれ道になる気がする。未来の明るい道なのか、それとも暗くてこのまま終わっていく道か。どこも契約をしてくれなければ終わり。自分がプレーしたくてもできない。そうなったら(引退の)可能性はゼロではないでしょう」
現在、松井秀の左ひざは「水がたまっている状態」だという。本人は「1週間前から少しずつ腫れてきたが、今はだいぶ、治まった」と左ひざの状態は軽症であることを強調。一昨年、右ひざの手術を受けた際と比較し「ひざは腫れたり、ひいたりを繰り返しながら少しずつ状態が上がる。右ひざのそうだった」と話す。
キャッシュマン・ゼネラルマネージャーも「まだ推測はしたくない。よくならなければ、DLに入れるか休ませるかを、そのときに考えればいい」と松井秀の早期DL入りを否定。長い目で松井秀の復調を待つ考えでいる。
だが、このまま成績不振が続き、ひざの状態も回復せずスタメン復帰がままならなければ、DL入りは確実だ。来年以降の戦力構想からも外れるだろう。ヤンキースでの契約更新の目は消える。
他の大リーグ球団、日本球団からのオファーはあるかもしれないが、松井秀も今年で35歳、年齢的なこともあるだけに、、最悪の場合、引退もある。松井秀が引退を避けるには、まずは番記者たちの低評価を覆す成績を残す以外にはないが、その道は厳しい。