容疑者は、当時オウム真理教の教祖だった麻原影晃の警備を担当していたほか、教団内で非合法な活動などを行う「諜報省」と呼ばれた組織の幹部も務めていた。警視庁は容疑者が、平成7年に國松警察庁長官が狙撃された事件についても事情を知っている可能性があるとみて調べることにしている。
この突然の出頭劇には、すでに昨年暮れ刑が確定した教祖・麻原影晃死刑囚の執行阻止があるものと考えられる。あるマスコミ関係者は「もちろん目的は教祖の死刑回避ですよ。昨年は異例ともいえる死刑執行がゼロだった年。支持率が急降下している民主党は国民の目をそらすため年明け早々にも死刑執行するかもしれない。その最初の一人が麻原という情報もあった。平田側はそれを察知し、他の逃走犯と話し合って出頭する順番を決めたのではないでしょうか。平田容疑者の裁判が結審したら、次の逃亡犯が出頭という具合に刑の執行を引き延ばすという“戦術”でしょう」と話す。
オウム関連の裁判は昨年にすべて結審しているが、あらたに平田容疑者の裁判が始まれば、オウム関係の事件で新たな証言が出てくる可能性もあり、その教団トップの死刑執行に法相が署名をためらうのではと踏んだ逃亡犯側の高等戦術ともいえるかもしれない。平田容疑者が逮捕されたことで、オウム真理教による一連の事件で特別手配されているのは、高橋克也容疑者と菊地直子容疑者の2人になった。