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川畠成道がニューイヤーコンサートでヴィヴァルディをアレンジ

 ヴァイオリニスト・川畠成道氏のニューイヤーコンサートが、1月22日に東京都千代田区の紀尾井ホールで開催された。「ジャズとタンゴのニューイヤー」をテーマに、クラシックからジャズやタンゴ風の楽曲まで幅広いレパートリーを披露した。

 川畠氏は8歳の時に薬害が原因で難病を患い、視覚障害の後遺症を負った。10歳からヴァイオリンを始め、桐朋学園大学音楽学部を経て、英国王立音楽院大学院に留学した。在学中から数多くの音楽賞を受賞し、首席で卒業し、同音楽院で史上2人目となるSpecial Artist Statusの称号を授与された。英国を拠点にソリストとして国際的に音楽活動を続けている。

 ニューイヤーコンサートは、モーツァルトのヴァイオリンソナタ第40番・変ロ長調K.454で始まった。K.454は、女性ヴァイオリニストのレジーナ・ストリナザッキの依頼で作曲した曲である。ヴァイオリニストの依頼で作曲されただけあって、ヴァイオリンの聴かせどころが豊富である。

 注目はアントニオ・ヴィヴァルディの「四季」より「夏」(ジャズ・タンゴetc.編)である。昨年のニューイヤーコンサートで川畠氏は「四季」の「春」をジャズバージョンで演奏し、クラシックの優雅さにポップさを加味した。今回はタンゴのテイストも加えた「夏」を演奏する。編曲者はTOKYO BIG BANDの設立者でもあるジョナサン・カッツ氏である。

 「四季」は川畠氏にとって思い出深い曲である。2005年9月にイタリアの名門オペラハウス・ボローニャ歌劇場で、同劇場の室内管弦楽団とイタリアデビューし、「四季」を共演した。同年12月にリリースした1枚目のアルバムも『川畠成道の「四季」VIVALDI THE FOUR SEASONS』である。翌2006年にはボローニャ歌劇場が来日し、川畠氏は東京オペラシティで四季をボローニャ歌劇場室内合奏団と共演した。

 「四季」の中では「春」が圧倒的に有名である。明るく軽やかでウキウキしたくなる曲である。春という言葉から連想する曲にピッタリである。これに対して、「夏」は日本人が夏に抱く季節イメージとは異なる。「夏」の主題は嵐である。全体的に暗く、時には突発的にリズムが速まるなど「春」の調和とは対照的な楽曲である。

 アレンジ曲ではブルースのリズムを取り入れることで嵐の不調和を表現した。川畠氏の音楽は優しい人柄を示すような、まろやかで暖かい音色が魅力であるが、「夏」では繊細で透き通った音に重厚感が加わっていた。
(林田力)

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