すでに国内12冠を獲っている常勝軍団にとって、次なるターゲットは間違いなくACL優勝だ。2007年に浦和レッズ、08年にガンバ大阪がアジア王者に輝いているだけに、ライバルに負けられない意地もある。
しかし鹿島はどうも「内弁慶」な傾向が強い。過去のACLは08年のベスト8が最高。その08年も1次リーグで北京国安(中国)にアウェーで負け、相手の取りこぼしで何とか決勝トーナメントに進出できた。だが、準々決勝もアデレード(豪州)に敵地で敗れ、アジア制覇の夢が途絶えている。今回もアウェーからのスタートだったため、最低限引き分けたかったが惨敗した。知将・オリヴェイラ監督も「最悪の試合」と肩を落とすしかなかった。今後のJリーグへの影響も懸念される。
浦和やG大阪に比べると、鹿島には修羅場をくぐった選手が少ない。W杯の大舞台に立った経験を持つのは小笠原満男と中田浩二だけ。その小笠原も負傷が癒えたばかりでフル稼働できず、中田はいまだにリハビリ中だ。他のメンバーは若く国際経験が不足している。そのせいか、水原に1対1で負けていた。「多くの選手が球際を怖がっていた」と小笠原も不満を吐露したという。
02年のナビスコ杯優勝を最後に5年間、国内タイトルから遠ざかった時も「小笠原ら、かつての常勝時代を知る世代と下の世代の実力差が大きい」と揶揄(やゆ)され続けた。それでも岩政大樹や青木剛、興梠慎三ら若手が奮起。07年と08年に3冠を獲ったことで、彼らも自信を得たといわれた。だが、世界に出てみると、やはりタフさが足りないことがよく分かる。岩政らも現実の厳しさを実感したはずだ。この苦境から這い上がるためにも、たくましさを身につけるしかない。