横須賀を本拠とする二軍の湘南シーレックスへ頻繁に現れ、ドラフト1位の筒香嘉智(横浜高)などを熱心に指導しているのだ。「広岡さんは横浜のゼネラルマネージャー狙いではないか」。こう横浜OBの間では評判になっている。
これまで広岡氏は母校の早大野球部をしばしば訪れ、今年のドラフト1位候補の斎藤佑樹らにアドバイス。「広岡さんは早大の監督になるつもりではないか」と、球界関係者の間ではささやかれていた。が、巨人の後輩であり、広岡門下生の江藤省三氏が早大の永遠のライバル・慶大の監督就任早々、リーグ優勝達成の快挙を演じたばかりだ。それが理由かはわからないが、「早大での指導? 早大はもういいんだよ」とある球界関係者に語ったという。
広岡氏の横浜のGM狙い情報には信憑性がある。チーム改革に苦心惨憺の尾花監督にとって、広岡氏はプロ野球界での師匠だからだ。広岡監督が球団史上初のリーグ優勝、日本一を達成した78年のヤクルトへ入団したのが尾花監督だ。以来、師弟関係が続いている。
95年に尾花監督がロッテの投手コーチに就任したのも、広岡ゼネラルマネージャーが招請したからだ。99年から05年までダイエー、ソフトバンク・王貞治監督の下で投手コーチを務め、ホークス投手王国を築き上げ、「名投手コーチ」の評価を勝ち取った裏にも広岡氏の存在がある。
「王さんから直接電話をもらってビックリした。それまで全く縁がなかったので、思わず『どこの王さんですか』と失礼な事を聞いてしまった。『投手コーチをやって欲しい』とお願いされ、2度ビックリした」。尾花監督は当時をこう述懐するが、王監督に推薦したのは、巨人OBの先輩である広岡氏だったのだ。
そんな太い絆のある広岡氏と尾花監督。前出の横浜OBがこう言い切るのも当然だろう。「広岡さんが熱心に筒香ら若手の指導をしているのは、尾花監督の要請があるからだろう。1人でチームの立て直しに苦闘している尾花監督とすれば、広岡さんがGMとして後方支援してくれたら最高だろう。広岡さん自身もGM職には色気たっぷりだからね。2人の思惑は一致している」。
実際にロッテで一度GMをやっている広岡氏は、色気を持っており、GM職復帰にやる気は満々だ。ロッテの時は自ら招いたバレンタイン監督と正面衝突。バレンタイン監督は1年で退団したが、「ケンカ両成敗」という球団側の決断で、広岡GMも短命で終わっている。そんな経緯があるだけになおさら未練たっぷりで、以後、古巣・巨人をはじめ各球団でのGM復帰工作は何度かウワサされている。
来季、広岡GM=尾花監督という新コンビが横浜に誕生するかどうか。今後の広岡氏の動向にはこれまで以上に注目する必要がある。