今回、同賞にノミネートされたのは、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」の13部門を最多に、公開中の「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の12部門、「それでもボクはやってない」の11部門。
ところが、「HERO」は主演のキムタクのみならず、作品賞にすらノミネートされていない。
「昨年のジャニーズ事務所の態度に関係者がカンカン。そのため、『ジャニーズタレントの出ている映画は、選考対象から外そう』という暗黙の了解が審査員の間にあった」(映画関係者)
昨年を振り返ると、「武士の一分」で主演のキムタクが同賞の優秀主演男優賞にノミネートされたが、ジャニーズ事務所はノミネートの辞退を発表。続いて、権威ある映画賞「ブルーリボン賞」にキムタクとV6の岡田准一がノミネートされると、ジャニーズは「同じ事務所内のタレント同士で賞を争うのは本意ではない。日本国内の賞レースには今後も参加する可能性は極めて低い」とコメントを発表した。
「昨年のキムタクは、『明日の記憶』に主演した渡辺謙に勝ち目がなかった。ジャニーズは“負け戦”をあえて避けたとも言えるが、それが関係者の怒りを買った」(映画記者)
ジャニーズのタレントといえば、毎年年末に行われる「日本レコード大賞」にも長年、絡んでいない。
「キムタクの辞退と同じ理由で、他のアーティストと比べられることを拒んだ結果そうなった」(レコード会社関係者)ということだが、実際、ジャニーズにとっては賞レースに参加する必要は全くないようだ。
「そもそも、日本アカデミー賞もレコ大も“有名無実化”して、単なる毎年の恒例行事になってしまった。わざわざそこで評価されなくとも、ジャニーズのタレントのコンテンツはコケることがなく、どこのレコード会社も映画配給会社もノドから手が出るほどほしい。固定客がしっかりついているため、作品のクオリティーが多少低くとも関係ない」(同)
ただし、「HERO」の場合、作品の評価も意外に低かったようだ。
「あの作品なら誰が監督をやっても同じ。それにジャニーズや配給元の東宝は興行収入100億円突破をもくろんでいたのに、80億円にとどまった。まだまだ上映期間を延長して、1円でも興収を増やそうと躍起になっている」(先の映画記者)
結局、ジャニーズの威光は賞の権威を上回っているということか。