しかし、今オフ「近い将来のメジャー挑戦」を表明した日本ハム選手が多すぎる。西川遥輝に続いて、大田泰示も「夢を諦めていない」と打ち明けた。日本ハムはメジャー挑戦に“寛大なチーム”でもあり、ポスティングシステムによる彼らの挑戦が現実となるのは時間の問題だろう。
「清宮(幸太郎)も、いずれはね…。今秋のドラフト会議で千葉ロッテに指名された佐々木朗希投手も、メジャーリーグ挑戦の思いを強く秘めています。ドラフト前、12球団OKと言っていましたが、そうではなかったようです。ポスティングシステムによる挑戦に前向きな日本ハム、楽天を希望していました」(在京球団スタッフ)
こうした現状に「有望な若手がこぞって米球界に流出してしまえば、NPB全体のレベルダウンにつながる」と懸念する声もあれば、「将来のメジャー志望があるから、特定球団以外の指名を拒否するドラフト候補生が激減した」と好意的な意見も聞かれた。
その是非はともかく、20代の主力選手が次々とチームを去ってしまえば、栗山英樹監督も選手のヤリクリが大変だろう。
「今秋のドラフト会議で社会人、大学生のピッチャーを4人(育成除く)も獲得しています。5位に沈んだチームを建て直すためもありましたが、有原の米球界志望を知っていたのでしょう。日ハムは育成のチームなのに」(スポーツ紙記者)
しかし、メジャーリーグ挑戦の意思を口にしていない主力選手もいる。中田翔(30)だ。中田は高校時代から将来の米球界挑戦を語ってきた。近年、その去就が騒がれたこともあったが、それは「日本ハムに残るか、国内の他球団に移籍するか」の話だった。
この時点で残留を表明したので、「生涯、日ハム」と見る向きもあるが、こんな声も聞かれた。「栗山監督の去就次第ではないか?」と。
「栗山監督は中田のことをかわいがっています。そういう愛情の強さが中田を引き止めたとも言えます」(球界関係者)
栗山監督は来季も指揮を執る。しかし、正式発表前のオーナーとの会談が長引いてしまった。このとき、栗山監督はチーム低迷の責任を取って退団を申し出たが、球団側が説得して、ようやく続投が決まった。
「栗山監督を高く評価しているのは本当ですが、延長した任期は1年。来季で9年目ですし、勝っても負けても栗山監督は退くつもりなのでは」(前出・同)
そうなった場合、有原、西川、大田が同時に米球界に挑戦し、「中田も」なんてことにもなりかねない。清宮に関してもそうだ。2019年シーズン後半、栗山監督は周囲の反対を押し切って清宮の一軍帯同を決め、早出特打ちなどのアーリーワークを徹底させていた。自身の任期中にレギュラーに定着させたいと思ったのだろう。
「有原たちはチームの勝利に貢献することがポスティングシステムに課す条件になります。『優勝して米球界挑戦』となれば、最高なんですが」(前出・スポーツ紙記者)
清宮の米球界挑戦の時期が前倒しされるかもしれない。2020年、日本ハムは激震のシーズンとなりそうだ。(スポーツライター・飯山満)