では、世界で治安が悪い街、常に命の危険にさらされている街はどこなのか? テロ危険度や殺人事件発生率などさまざまな角度から各都市の危険度を調査。ワースト20都市を発表する。
まずワースト1位は、シリア内戦の最激戦地の一つ『アレッポ』だ。'12年8月に日本人ジャーナリスト山本美香さんが殺害された同市はシリア第2の都市。中世の雰囲気を残す古い街並みは世界遺産に認定されていたが、市街戦の影響でかつての面影はない。
これまで世界50カ国以上を訪れたというフリーライターの高島昌俊氏によると「現在は政府軍と反政権派、イスラム国の3勢力乱れて戦闘が継続中。多数の市民が疎開したがいまだに暮らしている人も多く、内戦開始から同都市だけで数万人の犠牲者が出ているといわれている」と警鐘を鳴らす。
2位も同じくシリアの都市『ラッカ』。街を実効支配するイスラム国が首都に定めているが、彼らが身柄を拘束していたヨルダン人パイロットの処刑動画を2月上旬に公開したことでヨルダン軍が報復の空爆を開始。イギリスなど反イスラム国の各国も空爆に参加し、ラッカでは市民を含む多数の犠牲者が出ている模様だ。
続く3位はナイジェリア北東部の『バガ』。国際的にも無名に近い都市だが、今年1月上旬、ナイジェリア版タリバンと呼ばれているイスラムテロ組織「ボコ・ハラム」が同市を襲撃。わずか1週間で近隣の町や村と合わせて2000人以上の住民が同組織によって虐殺されている。亡くなった女性は子供も含めてその多くがレイプされており、さらに略奪などイスラム国に劣らずの非道ぶりだ。
4位『ガザ』はニュースや新聞でイスラエル軍による空爆や地上軍侵攻がたびたび取り上げられている。大勢のパレスチナ人が家族や住む場所を失い、長期間危険にさらされている。
「国際ボランティアも多い地域ですが、彼らですら命の危険にさらされているほど」(前出・高島氏)
そして、5位は政府軍と親ロシア派の戦闘が続くウクライナの都市『ドネツク』。昨年7月のマレーシア航空機撃墜事件は記憶に新しく、上空を通過するにも大きな危険が伴う。また、戦闘には小規模な核兵器が使用された可能性も指摘されており、今月8日にキノコ雲を伴う大規模な爆発が起きた際には「核攻撃では?」との噂も広がっている。
6位にはイラクの首都『バグダッド』がランクイン。フセイン政権崩壊から11年が経ち、治安は回復傾向にあったが、「最近はイスラム国の犯行と見られるシーア派住民を狙った爆破テロが増えており、治安が再び悪化しつつある」という。
紛争地帯以外で最上位だったのは、7位の人口約75万人の中米ホンジュラス第2の都市『サンペドロスラ』。
「ギャングなど犯罪組織の力が強く、警察など治安機構が機能していない。戦場を除いた“最も世界で危険な街”」と、旅行者も立ち寄らないほどだ。
ちなみにこの街の人口10万人あたりの殺人事件発生率は169.3件('12年)と世界1位。これに対し日本はわずか0.3件。実に564倍もの開きがあり、信じ難い数字である。