東北楽天ゴールデンイーグルスの三木谷浩史オーナーが“外国人枠の完全撤廃”論を訴えたのは、11月14日に逆上る。オーナー会議において「私たちがやっているのはアマチュアではなく、プロの興行。最高のプレーを見せるのがミッション。そうであるなら、日本人でなければという理由がない」との持論を展開した。
この会議の様子を知る他球団のスタッフがこう言う。
「前回9月のオーナー会議にも三木谷オーナーは出席しています。氏の出席は約3年ぶりです。ずっと代理出席者を立てていたので、何か訴えたいことがあるとは思っていましたが。他球団の反応? 三木谷オーナーはJリーグ神戸のオーナーでもあるので、サッカーの外国人に関して質問が出ました。Jリーグもその方向に向かっているとし、諸外国のサッカーリーグでは外国人枠を撤廃して盛況だったと回答していました」
この意見に対し、強力に反対した他オーナーはいなかったそうだが、賛同する球団もなかった。議論は盛り上がらず、オーナー会議は終了。“様子見”といったところだろうか。
「元ヤクルトの古田敦也氏が選手会長だった時代、オーナー会議で外国人枠について話し合ったことがありました。当時は人数枠を拡大する意見も複数球団から出て、今日の『外国人選手の支配下登録に制限なし。一軍出場は4人まで』と決まりました。後になって、選手会はこれに反対する意見をオーナー側に届けたはず」(球界関係者)
当時、「野手2人、投手2人の4人まで」だった一軍出場登録を「双方2人ずつ、あるいは一方を3人まで」に改めたのだが、選手会は「日本人選手の出場機会を少なくしてしまう」と訴えた。選手会のホームページでは、この考え方は今も変わっていない。
「選手会会長は楽天の嶋基宏選手ですよ。三木谷オーナーの改定案を否定させるんですかね?」(ベテラン記者)
プロ野球チームの納会は11月下旬。納会の席では来シーズンの話も出る。「来年3月のWBCでは頂点奪還を」との声も各方面から聞かれたが、同時にこんな懸念が…。
「WBC決勝戦は3月22日。来季のペナントレース開幕戦は同31日です。日本がWBC決勝戦まで進出すれば、選手たちはハードスケジュールとなり、登板した投手は開幕カードを投げられなくなるかもしれない。選手会は開幕日を4月にしてくれと訴えましたが、NPBはそれを聞き入れませんでした」(前出・関係者)
前回大会では「出る、出ない」で選手会とNPB事務局がモメた。最終的に選手会が折れたが、大リーグ機構と米選手会ばかりが儲かる図式に改善を訴え、その主張もやはり変えていないという。WBCの運営に関する改善論が再提議され、ペナントレースの日程問題に対する不満も同時にぶつけられたら…。
「11月オーナー会議で出た外国人枠撤廃論ですが、『三木谷さんが選手会を逆撫でするようなことを言い出したゾ』と思った関係者も少なくありません」(前出・同)
ストーブリーグの話題に、「対選手会」も加わりそうだ。