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阪神の糸井FA交渉で始まる「トラの崩壊」

 11月11日、FA権を行使した選手との交渉が解禁となる。『糸井争奪戦』が始まるわけだ。糸井嘉男、35歳。今季、53盗塁をマークし、プロ野球史上、最長年齢での同タイトル獲得を決めた。年齢を感じさせない脚力はもちろんだが、今季の成績は打率3割6厘、本塁打17、打点70。通算打率も3割を越えており、阪神・金本知憲監督(48)が自ら交渉の席に出馬する旨を明かしたのも分からなくはない。
 「金本監督の口から『糸井』の名前が初めて出たのは、8月27日の拡大編成会議の席でした。同会議で主に話し合ったのは、ドラフト候補選手のことでした」(球界関係者)
 同時期の編成会議の議案といえば、ドラフト指名候補のことである。「拡大」の名称はついているが、FA、トレード、外国人選手の獲得目処、二軍選手の成長等も重ねて、上位指名候補を絞り込む会議のことだ。その席上で、金本監督は「是非、獲って下さい」と上層部に願い出たそうだ。

 早い時期に“本命選手”の名前が出たためだと思われるが、今オフの阪神の補強は一本化している。阪神はFAや日本球界に帰還するメジャーリーガーなど、毎年のように外部補強を行ってきた。日本人メジャーリーガーは渉外、FAは編成。担当が異なるせいもあるが、交渉過程で本命が二転三転することもあった。また、これも本命が早く決まったためと思われるが、関西メディアは「糸井の阪神入り」を既成事実のように伝えていた。関西全体で「トラの糸井誕生」の気運が高まっている。そう言っても過言ではない。
 しかし、交渉はどうなるか分からない。糸井争奪戦の勝者は本当に阪神と言っていいのだろうか。
 「オリックス関係者から出た情報として、阪神のゴメスを獲る、と。阪神はゴメスとの契約を『保留』したまま。糸井との交渉が最優先となったため、手付かずになってしまったんです。糸井が獲れたのなら、ゴメスとの契約は延長しないかも」(在阪記者)
 ゴメス強奪の話が本当ならば、糸井強奪の報復手段をオリックス側も考えていると見るべきだろう。
 思い付くのは『人的補償』だ。糸井はチーム内年俸ランキングで5傑に入っていない。したがって、Bランクとなり、旧在籍チームは人的補償を要求すれば、「プロテクト名簿の28人から漏れた選手1名」と「今季年俸40%」を得られる。金銭のほうはともかくとして、今の阪神はプロテクト名簿を作るのが難しい時期にある。

 一軍コーチ経験を持つプロ野球解説者がこう言う。
 「一般論として、28人のプロテクト名簿は、そのシーズンの一軍ベンチ入り選手ですね。一軍の試合出場登録選手数は25人。名簿には外国人選手を入れなくていいので、その分を一軍出場していない有望な若手、前年ドラフトの上位指名選手などを入れていきます。『高額年俸の選手には手を出さない』という読みもあります。相手球団の補強ポイントが外野だとしたら、年俸の高いベテラン内野手を外して、外野手を多めにプロテクトするなどして対応していました」

 オリックスの守備位置的な補強ポイントは、外野手だと言われている。
 もし本当に阪神が糸井を獲得し、プロテクト名簿を作ることになったら、大和(登録は外野手)、福留、高山、横田、江越、板山の名簿入りは確実。主力内野手ももちろんだが、今の阪神は投手と捕手も多めにプロテクトしなければならない。「プロテクト名簿=一軍登録メンバー」でまとめるとしたら、一軍に定着できなかった中堅、若手が外れる。しかし、横山、歳内、秋山、竹安、望月、松田、島本らは獲られたくないはず。捕手も原口、坂本、梅野はともかく、チームの精神的支柱・岡崎はどうするのか、また、内野手にしても、金本監督が期待する植田、陽川はどうするのか。そう考えると、「高額年俸のベテランには手を出さない」という読みのもと、福留、鳥谷、西岡、能見を外して、若手を守る名簿作りをするのではないだろうか。
 「オリックスはチーム総年俸で12球団中3位です。ソフトバンク、巨人に次ぐ資金力のある球団なんです」(前出・プロ野球解説者)
 高額年俸のベテランを抱えることが可能な球団なのだ。オリックスはオフの話題をかっさらうような人的補償を行うことも可能だ。阪神は世代交代の時期にあり、ベテランも若手も失いたくない。糸井獲得に成功しても、「チームの顔」を喪失してしまうかもしれない。

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