選考結果の発表会場では2回続けて「該当作なし」の張り紙が出され、主催する日本文学振興会のX(旧Twitter)にも、「残念ながら『該当作なし』という結果に終わりました」という投稿が2つ並んだ。まさかの結果に、SNSなどでも驚きの声が上がっている。
芥川賞は新聞、雑誌に発表された無名または新人による純文学短編作品、直木賞は新聞、雑誌、単行本として発表された短編および長編の大衆文芸作品の中から優れた作品に贈られる。第1回の選考会が行われたのが1935年8月で、今回はちょうど90周年だった。
結果について、直木賞選考委員の京極夏彦氏は「大変難しい選考で、長くても3時間ほどなのが、まるまる4時間かかった。作品のレベルがきっ抗していて、同じ作品を強く推す人と、強く推さない人が同数になるなど、突出した作品がなく、最終的に、どれか1つを選ぶわけにはいかないと、選考委員全員の総意として落ち着いた」と述べた。
ネット上では、「全国の書店の方々も、気持ちの整理がなかなか大変じゃなかろうか」「審査員が候補作に誠実に向き合った結果であるとも取れますが、それでも書店側には少なくない打撃があるでしょうし、複雑な気持ちです」など、審査の公平性を認めつつも、書店を心配する投稿が数多く見られた。
もちろん売上を考えて賞を出すべきではないが、書店にとっては痛手だろう。受賞作は出なかったものの、これを機に足を運んで、候補作を手にとってみるのもいいのではないだろうか。