「ヤクルトが村田獲得を検討したのは本当のようです。最終的に若手の起用機会を奪うとし、見送られました。中日? こちらもウワサの域を出ません。情に厚い森(繁和=63)監督も気に掛けていると思いますが…」(ベテラン記者)
森監督は2002年から2季、旧横浜ベイスターズの一軍投手コーチを務めている。03年の1年だけだが、当時、新人選手だった村田とも接している。投手担当と新人内野手のため、深い繋がりはないが、当時を知る関係者によれば、「チーム事情で不慣れな二塁守備にも挑戦していた。そういうひたむきな姿勢は森監督も見ている」という。
村田の中日入りが噂されたのは、西武投手コーチ時代の松坂と重なる部分もあったからのようだ。
また、村田自身が各メディアに明かしているが、複数の国内独立リーグチームからのオファーは来ているという。現役続行を最優先に考えているとのことで、このまま、NPB12球団からお声が掛からなければ、独立リーグ入りし、そこで再びNPB復帰を目指すつもりでいるようだ。
「独立リーグの経営陣は『ウチはいちばん最後でいいから』という誘い方をします。選手が最後の最後までNPB帰還に固執するのを知っているからです。ただ、独立リーグは基本的にNPB入りを目指す若者たちの野球組織なので、いつまでも待たせていたら、向こうにも迷惑が掛かります。オープン戦も始まりましたし、そろそろ返事をしないと…」(プロ野球解説者)
しかし、村田を迷わせる「NPBの情報」も交錯している。故障者の続出だ。特にソフトバンクは深刻で、2月27日には正二塁手候補の明石が練習試合後に腰の痛みを訴え、救急車で運ばれた。高谷、栗原と捕手2人も故障で欠いており、22歳の内野手・曽根にも緊急で捕手の練習をさせていた。明石の故障は曽根をコンバートさせた直後でもあり、ソフトバンクには苦しい展開も予想されている。ひょっとしたら、経験豊富な村田にお声が掛かるのではないだろうか。
「村田の通算安打は1865本。あと135本で名球会入りです。打撃力はまだ衰えていません。それはどのチームも認めていますが、守るところがない。代打要員の扱いで納得してもらえるのかどうか…」(在京球団スタッフ)
思わぬ主力選手の不振や故障、外国人選手の不適応など、この時期は戦力構想が変わりやすい。村田の中日入りのウワサには、イチロー(44)の話も絡んでくる。村田と同級生でもある松坂大輔(37)を獲得したのはイチローを勧誘する意味合いもあったとされる。経験豊富なベテランを獲ることで、森監督は若手に刺激を与えようとしているのだという。
「オファーを待ち続け、そのまま自然消滅するような引退劇になったら、最悪です。NPBへの未練を断ち切るときです。現役を続けたいのなら、独立リーグに行くべき」(前出・同)
松坂には森監督という西武時代のルートがあった。イチローには代理人がいる。村田は学生時代の友人に練習相手を頼んでいるが、移籍のために代わって動いてくれる人がいない。人脈の差か…。スタープレーヤーといぶし銀のスラッガーでは、実力以外のところで晩年の扱いが違ってくるのもプロフェッショナルの世界であるようだ。