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“転売ヤー”撲滅への一歩となるか チケット高額転売に関する新法案が成立へ

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 「チケットが取れん!」。数年前まで広島で学生時代を過ごした筆者が、しばしば耳にした言葉である。その土地柄故にカープファンの友人は多かったのだが、近年本拠地マツダスタジアムのチケット争奪戦は激化の一途をたどっている。スマホ、パソコン、各プレイガイドを駆使した挙句、収穫無しというのもザラだった。

 争奪戦に敗れた友人たちが、度々怒りの矛先を向けていたのが「転売」の二文字。スポーツに限らずあらゆる分野でこうした行為がはびこっている現状に、忸怩たる思いを抱いている人もきっと多いことだろう。

 そんな人たちにとっては、朗報といえるのかもしれない。複数メディアが報じたところによると、スポーツやコンサートのチケットの高額転売を規制する新法案が、今国会で成立する見通しであるという。2年後の東京五輪を見据えているとされるこの法案では、利益を目的とした定価超えでの転売や、それを目的とした譲り受けが禁止されるとのことだ。

 これまでも、迷惑防止条例や物価統制令による規制はされてきたものの、撲滅への決定打には至らなかった高額転売。しかし、とうとう国が動きはじめたということで、この社会問題には確実に一石が投じられることになる。

 ただ、高額転売を助長するダフ屋やいわゆる“転売ヤー”が、このまま手をこまねくとも思えない。あの手この手で法の抜け道を探し出し、何食わぬ顔で狼藉を働く輩も出てくるだろう。法案の効果を最大限に発揮させるには、入場時の本人確認の徹底や、様々な事情で行けなくなった正規の購入者が定価でチケットを譲渡する「リセールサイト」の導入といった対策に、どれだけ多くの主催者が力を入れられるかも大きなカギを握っている。

 見たいもののチケットを、見たい人が正規の値段で購入する。主催者にとっても消費者にとっても、これが1番であることは自明の理だ。高額転売を巡る人々の悲哀が、新法案によって1つでもその数を減らすことを切に期待したい。

文 / 柴田雅人

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