ご存知の通り、橋下氏は2月1日に行われた『日本維新の会』の党大会で、突如、出直し市長選の開催を表明。その裏には大阪都構想の成立で、密約を結んでいた公明党の裏切りがあったことが発覚しているが、ここにきて橋下氏の“公明党攻撃”が急激にエスカレートし始めたのである。
政治部記者がこう語る。
「もともと、今回の出直し市長選は、一昨年暮れに行われた衆院選が発端。その際に維新は公明党候補が出馬する大阪や兵庫などの6選挙区に候補者を立てず、その見返りに都構想成立への協力を公明党幹部に承諾させたのです。出直し市長選表明時に橋下はこの密約を暴露し、『宗教の前に人の道があるのではないか!』と同党の支持母体である創価学会までをも痛烈批判したが、公明党がシラを切り続けるために大バッシングに転じたというわけなのです」
実際、その批判ぶりは凄まじい。2月8日に行われた日本維新の会の会合では、「死ぬまで公明党の選挙区に立候補することをライフワークにする」「あれだけ裏切られたのだから、とことん行きます!」と恨み節を連発。また、返す刀で「(公明党の集票マシンと呼ばれる創価学会の)常勝関西の流れを断ち切るため、ありとあらゆる手段を講じていく!」と、“学会殲滅論”まで持ち出したほどなのだ。
ただ、こうした動きには裏があるという。
「実は、橋下は出直し市長選という強権発動に反発する他党の術中にハマり、ピンチに立たされているのです。自民、民主、公明党は市長選を橋下の『独り相撲』にすることを画策。候補者擁立を見送る方針を固め、共産党にもこれを呼びかけた。その思惑は、5億円の税金を無駄遣いしてまで市長選を行う橋下をピエロに仕立て上げ、再選後に再開される大阪都構想の議論を店ざらしにする大義名分を得るためなのです」(前同)
ちなみに、自民、民主、公明党の動きとは別に候補者擁立を検討していた共産党は、2月14日になってこれを撤回。「候補者見送り」を発表したために、橋下氏が無投票再選される可能性が高まり、俄然、窮地に陥りだしているのである。
もっとも、こうした包囲網はすでに橋下氏も織り込み済み。一方では、野党の思惑を打ち砕く“巻き返し策”を展開し始めているとの声も上がっているのだ。
市議会関係者がこう話す。
「実は、ここにきて“野党包囲網”を打破する秘策が、維新内部で講じられているとの話が聞こえているのです。その内容が公明党との密約をさらに暴露するという方策。知っての通り、橋下氏は大阪都構想の住民投票に至るまでの協力を、公明党幹部に了承させたことを明かしているが、誰がどう回答したのか、学会の意向はどうだったのかについては全く触れていない。そのため、返り血を浴びるスレスレの暴露に及ぶ方策が検討されているのです」
もしも、橋下氏がさらに公明党の密約を仔細に暴露すれば、同党がイメージダウンに陥るのは必至。しかも、仮に公明党が創価学会の意向までをも伝えていたとすれば、政教一致のそしりを受ける可能性も少なくないのだ。
「つまり、本格的なチキンレースに持ち込む作戦が、維新内部で検討され始めたというわけです。実際、来春には統一地方選が開催されるが、執念深い橋下氏が延々この攻撃を続ければ、さすがの常勝関西も大きな痛手を食らうはず。ゆえに噂を聞きつけた公明党幹部らは、今後の橋下氏の動向にブルいまくっているともっぱらなのです」(前同)