放送事故はめったに起こらない珍しいものとされる。生放送のバラエティ番組などで、タレントの問題発言を「ほとんど放送事故並み」と例えられることはあるが、これは厳密な意味では事故とはならない。ならば、どういった基準が事故となるのだろうか。
「もっともわかりやすいのはラジオですね。一定期間の無音状態が続くと、放送事故とみなされます。おおよその定義としては10秒前後の無音状態が続くと放送事故になってしまうようです。ゆっくりとしゃべる人や、間がある人は要注意といえますね。もちろんバックに音楽が流れている場合は放送事故にはなりません。20秒ほど沈黙が起きた場合は、自動的にクラシックの音楽に切り換えられることもあります」(業界関係者)
一方で、テレビの場合は、放送事故の定義も複雑になる。
「テレビの放送事故には複数の要因がありますね。まずは、送信側の機械故障による事故、今回の放送事故はこのケースに該当するでしょう。また、生放送中にスタッフがスイッチの操作をまちがえて、突如CMに行ってしまうといった人為的な事故もあります。そして、自然災害などによる送信設備の故障による事故があり、2011年の東日本大震災のときには、東京タワーの先端が曲がり、一部の地域で映像が受信しにくくなる事故が発生しました。さらに、日本では起こる可能性が低いといえますが、テロリストによる放送局の占拠も放送事故の一種といえます」(前出・同)
今回の事故は数ある放送事故の中でも、比較的軽度のものといえるだろう。原因究明が待たれるところだ。