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1,800人のファンを魅了 『第32回東芝グランドコンサート2013』

 株式会社 東芝(本社=東京都港区)は 2013年1月31日(木)の東京サントリーホールで毎年恒例となっている『第32回東芝グランドコンサート2013』に協賛した。

 第32回目となる今回は、圧倒的なエネルギーと革新的なアプローチで聴衆を魅了するロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、指揮者には溢れる才能とカリスマ性を持ち、いま最も注目される若き俊英ヤニック・ネゼ=セガン氏を迎えた。

 毎回、フランス国立管弦楽団やロンドン交響楽団などの海外名門オーケストラ、国内外の著名指揮者、ソリストらを招いている本コンサートだが、躍動感あふれる演奏で音楽ファン約1,800人を魅了した。

 ヤニック・ネゼ=セガン氏のタクトさばきに場内は息をのみ、まず1曲目の「シューマン:歌劇『ゲノフェーファ』序曲 Op.81」をエネルギッシュに演奏し終わると割れんばかりの大きい拍手が沸き起こった。

 また、コンサート後には、現在NHK Eテレ「ららら クラシック」で司会を務める加羽沢美濃氏、音楽評論家の渡辺和彦氏のインタビューも行われた。

 加羽沢氏は「オランダに出掛けてみたくなりました。明るくて華やかなサウンドを奏でる人々が、どんな景色を見て、どんなものを食べて、どんな風に生きているか…見てみたいですね」とコメント。渡辺和彦氏は、「今日は明るい透明な音でしたね。もうひとつのオランダの名門、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団が重厚なのに対して、こちらはカラフル! ヴァイオリニストのテンションがどんどん上昇し、バッと演奏が終わるのがスリリングだった」と、二人ともやや興奮気味に感想を話した。

 今回の東京を皮切りに、仙台・名古屋・兵庫にてツアー形式で行われる。

【第32回東芝グランドコンサート2013】(寄稿は渡辺和彦・京大名誉教授)
●独特の都会的サウンド 『第32回東芝グランドコンサート2013』

 話題の新進指揮者、ヤニック・ネゼ=セガン(1975年カナダのフランス語圏、ケベック州の生まれ)に率いられたオランダの名門オーケストラ、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団。私が聴いた1月31日、サントリーホールで行われた「第32回東芝グランドコンサート2013」の公演は、冒頭にシューマンのオペラ「ゲノフェーファ」序曲があり、続いていま日本でもっとも輝いている若いヴァイオリニスト、庄司紗矢香を迎えてプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2 番ト短調、後半にブラームスの最高傑作、交響曲第4 番ホ短調というオーソドックスなプログラムだった。

 このオーケストラの音は、たとえばオランダのもうひとつの名門楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(アムステルタム)と比べると、あちらが重厚なダークトーンなのに比べ、明るくカラフルなことが特色。それでいてヴィオラやチェロはよく響く。ヴァイオリン部門の音が軽めでヴィブラートを抑え気味にしていることが、独特の都会的サウンドの秘密かもしれない。

 庄司紗矢香によるヴァイオリンは、楽章が進むごとに演奏のテンションが上がっていき、派手でアクロバット的な奏法が満載の第3 楽章など白熱の演奏。メイン曲のブラームスは、木管部門のトップ奏者が名人揃いな上に(特にフルート)、金管の音程が良いのは指揮者の耳が鋭いことの証明。さらにネゼ=セガンはメロディーのフレーズを大きめにとって弦を歌わせるので、結果として今どき珍しい巨匠タイプのブラームス演奏になった。今はクラシック・ファンの間で「知る人ぞ知る」という存在だが、あと数年もすれば若き巨匠として大スターになっているかもしれない。というより、いますでにそうなりつつある。その彼の指揮を、2013年初頭の時点で、オランダの名門楽団と一緒に聴けたのはとても幸運だった。会場の多くのひとが同じように感じたに違いない。

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