ここ十数年、グアムは寂れてきた。バブル期には日本人向けのリゾート開発を乱発し、最盛期には「日本の県の一部」とか「グアムでは日本語がしゃべれないと仕事がない」なんてジョークが飛びかうほど、それはそれは多くの日本人観光客がこの太平洋に浮かぶ美しい島に訪れたものだった。しかし、バブル崩壊とともにジャパンマネーが流入してこなくなった島は、次第に衰退の一途をたどる。
「どのホテルも改装に掛けるお金が使えなくなって騙し騙し営業してきたというのが現状。あのマリオットですら、グアムのマリオットはマリオットとは思えないほどボロいと欧米人が舌打ちするほど。それでもグアムはまだましな方。お隣サイパンはメイン通りがシャッター街化してしまい、我々も堂々とお客さんを案内できないほどです」(現地旅行業者)
そんな島に、今年は久しぶりにハッピーなニュースが届いた。
「昨年の来島者数がここ10年では見られなかった増加を見せ、ホテルの客室が満杯で観光客が島に来れなかった月が4カ月もあったんです。長い不景気から脱し、やっと立ち直る兆しが見えてきたところでした」(同)
そんな島の未来に水を差すかのごとく、降って湧いた惨事が今回の事件だった。しかし、ここグアムでは事件後も島を訪れる日本人観光客の数は今のところ変わってはいない。
「近年、グアム政府は日本人観光客から、新たに韓国人観光客の誘致にシフトしようとしているようです。現在、観光客の5人に1人は韓国人で、バブルが遠い昔の日本人に対して、韓国人観光客は3倍のお金を落とすことから政財界からは賛成の声もあがる一方、地元の一般民の多くはまだまだ実感が湧かないようですね」(同)
時代とともに移り変わろうとしていた島で起きてしまった今回の惨事。事件の全容解明を望むとともに、今回の事件で亡くなられた方々へお悔やみ申し上げます。(明大昭平)