生前、中川氏と親交のあった政治評論家の三宅久之氏(79)は4日夜、同氏宅前で報道陣の取材に応じ、「ご家族からは心筋梗塞と聞いています」と述べた。ショックな様子ありありで「(私は)中川さんに断酒宣言を迫った張本人。ストレスを高じさせてしまったのかな。(遺体に)『そんなことありませんよね』と声をかけた」と話した。
心筋梗塞は冠動脈が完全に詰まったり、急速に細くなったりして、心臓の筋肉細胞が死んでしまい機能が低下するもの。発病の要因としては高血圧やストレス、喫煙などがあるという。2月の「もうろう会見」による財務相辞任に続き、先の総選挙では議員バッヂを失った。働き盛りとはいえ、大きなストレスを抱えていたことは想像に難くない。
この日午前、中川氏死去の一報に中川宅前には100人近くの報道陣が集まった。「目立った外傷はない」「遺書は見つかっていない」などの情報が入り、自殺の可能性は低くなっていった。
しかし、急性心筋梗塞については突然死となることも珍しくないため、著名人が自殺や薬の過剰摂取により亡くなった場合に、死因として公表されることも多いという。この事例にあてはまるのが1983年に自殺した中川氏の父親の一郎氏だ。第一報では「急性心筋梗塞」と報じられながら、2日後に「自殺」と訂正された。その死をめぐっては、いまだに一部で“謀殺説”が囁かれているほどだ。
一方、昭一氏の遺体からはアルコール分が検出されたほか、最近では不眠を訴えて睡眠薬を服用していたことが分かった。ポロシャツに短パン姿で衣服に乱れはなく、室内には争った形跡もなかった。
突然の死に、同日午後には多くの政治家が中川氏宅を訪れた。
大島理森自民党幹事長は「北海道を愛し日本を愛する政治家でした」と涙を流し、「いろんなことが思い出されるのでこれで勘弁して下さい」と報道陣の前を立ち去った。安倍晋三元首相はショックを隠しきれない様子で「本当に残念。昭一さんを失ったことは大きな損失だ。10日前に電話で話しました。保守再生のためにがんばろうと話した」と声を振り絞った。
ほかにも、谷垣禎一自民党総裁、青木幹雄元参院会長、古賀誠元選対委員長、河村建夫前官房長官、町村信孝元官房長官、伊吹文明元財務相らが中川氏宅を弔問。さらに前原誠司国交相、亀井静香金融・郵政担当相、平沼赳夫元経産相のほか、拉致被害者家族連絡会の増元照明事務局長も訪れた。
「もうろう会見」の代償は大きかったが、拉致被害者家族らから期待の大きい政治家だった。あまりに早すぎる死に、冥福を祈りたい。
◎訪問者のコメント
平沼赳夫元経産相 「選挙後に事務所に来てくれた。その時は元気だった」
河村建夫前官房長官 「非常におしい。残念だ。心労もあったのでは」
町村信孝元官房長官 「政治家はいろんなことをかかえながら生きているから。心理的なストレスもあったのではと想像している」
拉致被害者家族連絡会の増元照明事務局長 「被害者家族にとってはなくてはならない方。顔を見たら何も言えなくなった」
【訂正】
記事中に「野党からは前原誠司国交相、亀井静香金融・郵政担当相…」とありましたが、与党と野党の者がおりました。「さらに…」に訂正してお詫び致します。(訂正日10/6)