ヤクルトは今オフ、コーチを『外部招聘』していない。新任、復帰、配置換えとなったコーチスタッフは、以下の通り。
新任
宮本慎也(42=選手兼コーチ/一軍)
宮出隆自(35=二軍打撃コーチ)
福地寿樹(36=二軍外野守備走塁コーチ)
小野公誠(38=二軍バッテリーコーチ)
配置換え
荒木大輔(48=投手コーチ)
池山隆寛(46=打撃コーチ)
伊勢孝夫(67=ヒッティングコーディネーター)
復帰
杉村繁(55=二軍打撃コーチ)
二軍外野守備走塁コーチだった度会博文氏(40)はフロントに異動する予定。退団したコーチは淡口憲治氏(60)、土橋勝征氏(43)、古久保健二氏(48)など。古久保氏はオリックスコーチに転じたが、興味深いのは2点。3季目を迎える小川淳司監督(55)は、ヤクルトOBだけでコーチスタッフを固めたこと。移籍経験者、途中加入のOBもいるが、近年では珍しいコーチ人事と言っていいだろう。
「落合(博満)氏が外様コーチを集め、チームを客観的に見ることで成功したので、ちょっと珍しいですね。まあ、もともとヤクルトは『ファミリー球団』とも言われてきましたが」(プロ野球解説者の1人)
2点目は、ちょっと意味シンである。次期監督候補と目されてきた荒木コーチの肩書が変更された。2012年は『チーフ投手コーチ』だったが、その肩書から『チーフ』が消え、立場上は伊藤智仁コーチと“対等”となったのだ。
今季の小川ヤクルトの敗因を挙げるとすれば、故障者が続出したこと。また、外国人選手が“気まぐれ”を起こし、ベンチの士気が鈍ってしまった時期もあった。チーム関係者の1人はこう言う。
「投打ともに若手の成長が遅れている…」
野手では正捕手候補の中村悠平(22)、内野の山田哲人(20)、川端慎吾(25)、一発の脅威も秘めた松井淳外野手(24)らに期待が寄せられており、投手にしても、いつまでも館山昌平(31)に頼りきったままではマズイということだろう。
そう考えると、“次期監督候補・荒木投手コーチ”の職責は重い。
「チーフの肩書がなくなったことで、荒木コーチは若手投手を直接指導できる立場になりました。小川監督は来年度もヘッドコーチを置いていません。コーチスタッフとのミーティングでは荒木コーチに仕切らせる場面もあると思います。『総合コーチ』だった伊勢さんをヒッティングコーディネーターという肩書にしたのも、そのためです。攻撃面の戦略は伊勢さん、投手陣とディフェンスを統括するのは、荒木コーチというふうに…」(前出・関係者)
今回、荒木コーチから『チーフ』の肩書を外したことについて、前出の関係者は「投手個々に直接指導もできるようになった」と言う。「小川−荒木」の継承ラインに変更がないとすれば、むしろ、ヘッドコーチに昇格させ、投打の作戦参謀としてチーム全体を統括させるべきだったと思うが…。小川監督は今季終了と同時に2年契約を終え、新たに1年の延長契約を交わした。秋季キャンプを見る限り、荒木コーチが特定投手に付きっ切りになる、あるいは、厳しく指導する場面はなかった。若手投手陣の成績次第で小川監督の再々契約なんてこともあるのではないだろうか。